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【無料記事】【新東京書簡】第二信『しばらくぶりです(弐)』(2016/05/04)

2月21日の練習試合、FC東京対東京武蔵野シティFC戦で、自らのゴールをアシストした平岡翼に駆け寄る中島翔哉。この日の東京はU-23同様の編成だった。喜びを分かち合う光景は美しいと思うけれど、ここからトップチームに入っていかないといけないことも確か。

2月21日の練習試合、FC東京対東京武蔵野シティFC戦で、自らのゴールをアシストした平岡翼に駆け寄る中島翔哉。この日の東京はU-23同様の編成だった。喜びを分かち合う光景は美しいと思うけれど、ここからトップチームに入っていかないといけないことも確か。

 

■どうもご無沙汰しております。青赤のライター後藤です。

『スタンド・バイ・グリーン』読者のみなさん、お久しぶりです。『トーキョーワッショイ!プレミアム』読者のみなさんには、いつもありがとうございます。先月から復活した『新東京書簡』、いきさつは第一回で海江田さんが説明したとおりなのだけれど、まさか「海江田さん、ヴェルディワッショイやんなよ!」と、お気楽にけしかけてから、とんとん拍子でここまで来るとは、思ってもみなかったね。

でもよく考えたら、そもそものオリジナルも、大住良之さんと後藤健生さんの往復書簡形式のあれをパク……リスペクトして、某『ロッキング・オン』の渋松対談みたいなノリも混ぜ込んでやりあったらおもしろいんじゃない? という軽い感じで始まった連載だった。その意味では『東京書簡』にふさわしい再開の仕方なのかもしれない。

でね、困るのは……昔はヴェルディが強かったわけですよ。2000年のヴェルディ川崎時代なんか、こっちにアマラオ+ツゥットのブラジル人ブーストがあっても勝てないくらいに力の差があった。ところがいまやヴェルディはJ2。肩を並べて語り合えない。東京都全体で見るとFC東京がトップチームで、東京ヴェルディが下部組織みたいな位置づけになるから、J1でプレーするべきヴェルディの選手を東京が吸い上げる構図になってしまう。ちょうど、河野広貴や中島翔哉がランドから小平へ来てくれたように。ライバルで丁々発止のやりとりができないのは、ちょっともどかしいね。

とはいえ、いや、だからこそ、往復書簡形式が活きてくるとも言えるかな。カテゴリーがちがうクラブ間でのやりとりは、田舎の母が都会に出た息子に宛てた手紙、日本から外国の友人を気遣う手紙みたいなものかもしれない。これはこれで味がある。こっちは落ちないように気をつけるから、ヴェルディには早く上がってきてほしい。ゆくゆくは町田も武蔵野も上がってきたらロンドンみたいな活況ぶりですげえな、って思うし。

■けがをしてしまった翔哉

前回、中島翔哉について訊ねてもらった。あのときはけがをする前だったよね。もうみんな知っていると思うけれど、翔哉は4月22日に負傷した。そこから全治5~6週間との発表があり、まだけがを治している最中だ。でも過度な心配は必要ないかもしれない。受傷して数日後にクラブハウス内で見かけたときには元気そうに歩いていたし、われわれが想像しているよりは早くピッチに戻れるんじゃないかと思う。トゥーロンに出られないとするとリオ五輪本大会のメンバーに残ると断言はできないけれど、日本の切り札になってくれると信じているよ。

翔哉の序列はセカンドチームであるU-23のフォワードまたはサイドハーフ。けがをする前なら、がんばってここを乗り越えていけと言うべきだったろうね。トップチームが不振に陥っているなら、なおさらだ。でもトップが低迷を始めた頃に、時を同じくして翔哉もけがをしてしまった。いまはけがを治し、五輪を最高潮で迎えられるよう、調整に全力を注いだほうがいいんじゃないかな。もちろん、J3を調整弁に使うだけでなく、調子さえよければJ1に出てトップチームを救ってほしいよ。でも、無理は禁物だ。

あと、あえてうがった見方をすると、移籍ビジネスの観点からも、慎重にコンディションを整えてほしい気はする。五輪で大活躍したら一気に海外移籍という話になるでしょ? 勝点を獲ることもそうだけれど、移籍金を残すことだってクラブに対する貢献なわけだから、スタッフは翔哉を大切に扱うんじゃないかな。

■緑から青赤へ

その翔哉、阿部拓馬や河野広貴とはちょっと毛色がちがう。なんというか中島翔哉は、いい意味でクラブに対するこだわりが薄いんだね。楽しくプレーして、いい結果を出し、正当な評価を得て自分や家族や周囲の人々を幸せにできれば、それでいいのだと思う。もちろん、冨樫剛一監督やヴェルディへの愛着がないわけではないけれど、とにかく真っ直ぐで常に前向きだから、あまりうしろを振り返らない。

その点、阿部と河野は、やっぱり緑だなぁという感じがする。先日、ヴァンフォーレ甲府との試合で山梨中銀スタジアムを訪れたときも、“バウル” 土屋征夫と会話に花を咲かせていた。所属が変わってもかつての仲間と旧交を温めあう機会を疎かにしないのがフットボールのいいところ。しっかり東京で戦力となりつつ、ヴェルディの根を忘れないところは、見ていて心が温まる。

さて、こちらからも気になる選手について質問させてもらおうかな。
昨年から関西学院大学時代と同じ3番をつけ、キャプテンを務める井林章。彼はあらゆる意味でイケメンだと思う。大卒の外様だけれど、ユース出身選手を従えて堂々と中核メンバー。今シーズンはここまで全試合フル出場をつづけている。趣味はアニメ! でもヲタクのような視野狭窄はなく、アニメ大好きな自分をうまくコントロールして、アニメのよさを伝えるときも的確に話すことができている。アニメとサッカーの親善大使みたいな役割を果たしていると感じる。
ハードなプレーも魅力だね。身長が179cmなのに、185cm超級の相手と渡り合う身体能力もすばらしい。空中戦は見応えがある。ポジションはちがうけれども、昔、鹿島アントラーズにいた長谷川祥之も、井林と同じくらいの身長でヘディングがむちゃくちゃ強かった。こういう選手、大好きなんだ。
鉄壁防御<ツーディメンジョンラブ>の能力(※わかんなかったらググって!)を持つ井林の現状、そして今後について、思うところがあれば聞かせてほしい。願わくは彼をヴェルディとともにJ1で観てみたいよ。

『トーキョーワッショイ!プレミアム』後藤勝
[了]

 

 

 

 

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「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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