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J1残留にかける札幌の闘志に敗れた、戦う理由なき青赤軍団【レポート/Review】

あいにくの雨に見舞われた味の素スタジアム。

10月21日、FC東京はホーム味の素スタジアムに北海道コンサドーレ札幌を迎えてJ1第30節に臨み、1-2で敗れた。0-0で迎えたセカンドハーフ開始直後の後半2分、Jリーグ屈指のキッカーである福森晃斗のフリーキックを都倉賢が頭で落とし、ジェイが右足で決める“注文通り”のゴールで札幌が先制。さらに、後半14分には都倉が左足で上げた精度の高いクロスをまたもジェイが決めて2点のリードを奪った。
追いつきたい東京は後半20分、太田宏介が蹴った右コーナーキックが大きな弧を描いてファーサイドに入ってきたところを、札幌の守護神ク ソンユンも脱帽した正確なヘディングでチャン ヒョンスが叩き込み、スコアを1-2としたものの反撃はそこまで。梶山陽平とリッピ ヴェローゾを投入してシステムを変更する策も実らず、最後まで粘り強く戦った札幌の前に屈した。
アウエーでの貴重な勝利を挙げた札幌は勝点を34に伸ばし、残留争いグループを脱するまであと一歩の位置につけた。一方の東京は勝点38に達しているものの、まだ残留は確定していない。J1残留を目標とする清水エスパルス、サンフレッチェ広島との対戦を残し、あと4試合に全敗する可能性すらある。

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台風の影響で降りつづく雨にもかまわず、札幌のサポーターはスタンド最前列に出てきてよく通る声を響かせた。試合前には赤と黒のコレオがゴール裏に描かれた。この熱い空気がピッチに伝染した。
札幌の四方田修平監督は実感を込めてこう漏らした。
「きょう多くのサポーターが来てくれたなかで、それ(アウエーでの初勝利)を達成できたことはほんとうに嬉しく思いますし、この勝利に対して(応援が)非常に大きい力になったのも事実。ほんとうに感謝しています」

試合後、殊勲の都倉に「東京にドームで勝ってはいたが、アウエーでこの内容のゲームができたことについての達成感はあるか」と訊ねると、次のように答えられた。
「(第28節、アウエーの)広島戦のときも先制はされましたけど、あわてることなく安定感を持って戦えていました。ホーム、アウエーいずれもなかなか勝ててはいませんでしたけれども、最近すごく安定した戦いができていましたから、いつかアウエーでも勝てるという気持ちはありました。きょうも最初から圧倒していましたし、あきらかにいまFC東京さんはモチベーションがないなかで、ぼくらは明確なJ1残留という目標がある、そういった難しい戦いになったと思うんですけど、そのモチベーションの差というのもこの時期になるとある程度(試合の結果への影響があると)感じています。個々の能力が高いFC東京に圧倒して勝ったことは、すごく自信になったと思います」

長いボールを蹴られることで感じる圧力もそうとうあったはずだが、まさかあれだけ彼らのやりたいようにパスをつながれるとは、東京の選手たちも思ってもみなかったのではないか。守備組織の前で動かす時間が長いぶん、東京のほうがボール支配率は上なのかもしれないが、どう見てもこの試合の主導権は札幌のものだった。個人単位ではジェイと都倉の高さ、チャナティップの速さと技術に手を焼いた。わかっていながら対抗しきれなかった。
翻って東京はといえば、3バックに移行してから頼みの綱となってきた室屋成も、ボールを預けられても出すところがなく下げてしまう。安間貴義監督が高いクオリティを期待して投じた大久保嘉人も持ち味を発揮できなかった。

札幌サポーターの応援、札幌イレヴンのプレーが観る者の心を震わせるものであっただけに、あらゆる意味で一体感に欠ける東京の覇気のなさが浮き彫りになった。
同世代のク ソンユンとの対決に燃えたユ インス、常に一定のメンタルを保つチャン ヒョンス、早くJ1に出たいと思いながらJ3の準備をしていた試合前日に急遽J1行きを命じられたリッピ ヴェローゾには戦うべき根拠があったのだろうが、同等の闘志をチームとして持ち得る状況ではなかった。

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安間貴義監督は試合後の共同記者会見で「チームは進歩している」と語った。
「最初は『大量失点している、チームがバラバラだ』という指摘から入ってきました。次の試合では『ボールを廻しているだけだ』と。それを克服してアタッキングサードに50回入るようになったら、今度は『最後のかたちはどうなるのか』と。甲府に行ったときには、崩して撃ったシュートがバーに当たり、キーパーのファインセーブに遭い『得点力不足』と言われました。ようやく世界共通の課題に取り組めるところに来たと、短期間で来たと思っています」

たしかに、最悪の時期に比べれば、この敗戦で感じる不満は贅沢なものなのかもしれない。純粋にサッカーの中身を見つめれば進歩しているのも事実だろう。しかし観る側としてはその進歩を認めて安心できる試合ではなかったことも、また事実なのだ。そして札幌の覇気に感じるところがあるにしても、その反省を活かすには来年まで待たなければいけないのは、じつに切ない。

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

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