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【無料記事】【新東京書簡】第六十八信『リーグ中断、どうしてんの?』海江田(20/3/4)

 

沖縄でのトレーニングマッチ。小池純輝と競り合う室屋成。


第六十八信 リーグ中断、どうしてんの?
 
■後藤さんはサウナどう?
 
 Jリーグが新型コロナウイルスの影響で中断。ひまだったので、久しぶりにごはん食べよっかと近所に住む川崎フロンターレ番のいしかわごうを連れ出した。
 
 いやはや大変なことになっちゃったね、という世相の話はそこそこに、近頃、おれが本格的に凝りだしたサウナに話題は移った。
 
 立川の北口にある銭湯『梅の湯』。かれこれ十数年ここで暮らしているのに、今年に入って何をいまさら、足繁く通い始めたのである。大きな風呂にサウナ、ついでに1万冊を超える漫画まであって、まさにひまつぶしのパラダイスだ。なんでこんないいスポットを見落としていたのか、まったくもって不思議で仕方がない。
 
 いしかわは、何言ってんすかという顔である。聞けば、すっかり常連らしい。それどころか、静岡県の『サウナしきじ』、愛知県の『ウェルビー栄』といった全国クラスの有名店をすでに制覇していた。
 
 急に、いしかわが大きく見えた。
 
 水風呂の気持ちよさを知ったのは、ごく最近のことなどとはとても言い出せない。下の毛も生えていないガキだと表明するようなものだからだ。
 
「手軽にサウナを楽しむなら、スポーツジムという手もありますよ」と、したり顔のいしかわが言う。それを聞き、おれの頭にひらめくものがあった。
 
 とどまることを知らない体重増に歯止めをかけるための妙策(服の買い替えが余計な手間)。これまで自分がやりそうもなかった新しい体験(この年になると自発的な機会の減少が著しい)。何より、身体を動かしたあとのサウナはどれほど気持ちいいのか。
 
 ヴェルディは完全非公開のミニキャンプをはっており、特にやることのない毎日だ。家に帰ってぱぱっと調べ、ぱぱっと入会手続きを取った。そう、今日からおれはメガロス海江田。わっはっはとご機嫌だった。
 
 安倍晋三首相が、集団感染を防ぐため、スポーツジムやビュッフェ形式の食事などを自粛するよう声明を出したのは、初めてジムにいった日のことだったらしい。
 せっかく入会し、3日も経たずにジム休業の憂き目を見るとは。なんてこったい。
 
 汗まみれのジジイどもが詰めるサウナ。「明日からどこへいけばいいんだ。かあちゃんは家に早く帰ってくんなって言うしよ」と、ほんのりエコーのかかった声音が哀切を極めた。
 
■東京ダービーin沖縄の余波
 
 東京ヴェルディは、徳島ヴォルティスとの開幕戦を0‐3で落としている。そこで、この度の中断がどのように作用するか。
 
 プレシーズンの準備段階で、永井秀樹監督の求めるレベルにチームが到達していないのは明らかだったため、さらなるトレーニングを積めるのはメリットだが、現時点の予定どおりにリーグが再開されれば、京都サンガF.C.、ジュビロ磐田、ジェフユナイテッド千葉と強豪相手のゲームが続く。どう転ぶかは、結果が出るまでわからない。
 
 FC東京が逆転勝利のスタートを切ったのは知っている。たしかに、沖縄キャンプでのトレーニングマッチで見た、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロ、アダイウトンのブラジル人3トップは迫力があった。
 
 あのときはそちらがACLのスカウティング対策のため非公開を希望し、ゲーム直前になって「うちと試合をしたことは伏せてほしい」とヘンテコな申し入れを東京V側にするものだから、いい迷惑だった。双方ともメディアに事前告知し、取材を受け入れているにもかかわらず、だ。東京Vからすれば、遠くからお金をかけて沖縄までやってきたサポーターの見る機会を奪うのは忍びないという事情もあり、じつに中途半端な形でゲームが行われた。
 
 で、SBGが出したレポートにめんどくせえことを言ってくるヤツがいて、あまり前例を聞かないことだから勘違いするのもやむなしとは思ったが、相手も屈辱的な1‐7の結果も何もなかったことにしたかったのはほかの誰よりも、おれだよ、おれ。
 
 この一件は、メディアはクラブに従属するものと捉えている人が少なくないことをあらためて示すものだった。そうではなく、本来、メディアは独自の判断基準を持ち、態度を決めなければならない。そのへんのことが全然わかっていないヤツは相手をする気にもなれない。
 
 たとえば、クラブがある選手を練習生という表記で出したとする。その判断自体、それはそれで構わない。だが、媒体で仕事をする自分がそのまま原稿にしてデスクや副編あたりに出したとしたら、「この人は練習生という名前か? 犬や猫にも名前があんだろ? ちゃんと聞いてこい、バカヤロー!」とどやしつけられるのがオチである。
 
 ま、なるたけ早く週末のサッカーが帰ってくることを願いますわ。後藤さんは、この中断期間をどのようにお過ごし?
 
『スタンド・バイ・グリーン』海江田哲朗
 
(了)
 

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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主なコンテンツ

●MATCH 試合後の取材も加味した観戦記など
●KODAIRA 練習レポートや日々の動静など
●新東京書簡 かつての専門紙での連載記事をルーツに持つ、ライター海江田哲朗と後藤勝のリレーコラムです。独特の何かが生まれてきます

そのほかコラム、ニュース、などなど……
新聞等はその都度「点」でマスの読者に届けるためのネタを選択せざるをえませんが、自由度が高い青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジンでは、より少数の東京ファンに向け、他媒体では載らないような情報でもお伝えしていくことができます。すべての記事をならべると、その一年の移り変わりを体感できるはず。あなたもワッショイで激動のシーズンを体感しよう!

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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