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映画『ユルネバ2021 眠らない街-TOKYO NEVER SLEEPS』主演、カトウクリスと月野もあ(仮面女子/アーマーガールズ)インタビュー! そしてFC東京と仮面女子の共通点【無料公開/ニュース】※21日上映会チケット情報を追加

 
 11月2日に調布市グリーンホールで廣山あみ&仮面女子LIVEあり上映会を終えたばかりのヨコハマ・フットボール映画祭観客賞受賞作品、映画『ユルネバ2021 眠らない街-TOKYO NEVER SLEEPS』が本日11月14日、CAFE DE CUERVOSで上映される。既にチケットは完売となっているが、21日に追加の上映会がある。今後も鑑賞の機会が出てくるかもしれない。そこで映画『ユルネバ』と、この映画に協力した仮面女子に興味を持った方のために、メインキャストであるカトウクリスと月野もあ(仮面女子/アーマーガールズ)のインタビューをお届けする(収録は11月2日)。

【追加上映のチケットは下記まで ※11月14日昼時点でチケット残余あり】
11/21(日) 14:00 START
『ユルネバ2021 眠らない街』上映会&アフタートーク
bit.ly/3D6uNm3

◆カトウクリス(店長、主人公) Interview

──見知らぬ街に行った青年がその地元のスポーツクラブを応援する人々に受け容れられて居場所を見つける──という物語のひとつとして受け取れる。サッカーファン以外の一般層にも訴える題材だと思うが、どのような気持ちで演じたのか。

 サッカー映画といえばサッカー映画なんですけれども、そのなかで人間関係が希薄になってきたこの時代のコロナ禍に於ける仲間との友情を描こうとする作品だなと感じたので、それをまっすぐな心で表現したいと考えました。

──主人公の造形が魅力的。田舎の母にあれこれと叱られる未熟さはありつつも、スポーツバーの店長にスカウトされるだけのいいところもある。このさじ加減はどうしたのか。

 あの「クリス」という人間は頼りなかったりはするんですけど、根はまっすぐで周りに好かれる何かを持っているんですよね。
 だらしなかった主人公が周囲に支えられて成長の階段を少しずつ上がっていく様子を表現出来ればと思って演じました。

──演技を拝見するとセリフに頼っておらず、声があとから出てくるように映った。

 まず監督から撮影に入る前にお話があり「極端に言えばセリフは覚えるな。感じろ」と言われました。
 それはすごく真理だなと思うんです。その人の内側で出来上がったものが外に出てきたときに言葉になるものだと思うので、今回もそれを大切にして、瞬間、瞬間に感じたものを出すということにしたので、台本どおりのセリフではなかったりするんですね。
 電話のシーン(※詳細は伏せる)でもセリフがあることはあるんですけど「おまえがそのとき感じていることや、相手に対して思っていることをそのまま言え」との演出だったので、ナマで出てきたセリフはけっこう多いですね。

──真に迫る演技だった。

 ありがたいですね。
 そういった意味では、撮影現場で監督がリラックスした空気をつくってくださっているおかげで演技をしやすかったということはありますね。

──ビールの注ぎ方が妙に巧かったり、細かいところまで計算が行き届いているとも感じた。

 そういうところは撮影に入る前の段階でどうしたらいちばんカメラ映りがよくなるかとか、逆算して演技のほうで調整するよう考えました。
 あとはまあ、居酒屋で長いことバイトしていたので注ぎ方が巧かったというのもあるとは思います(笑)。

──説明されなくても観客が観ているだけで何が起きているか、心情までわかってしまう。表情というか顔の演技にも説得力もある。

 顔が濃いので、けっこう「顔芸」「顔芝居」になっているとっころはあるなと自分でも感じるんですけど、わりとそれがよくないとされるときもあります。
 でもそれが長所だと思っているので、そこは思うがままに使っていこうと感じています。いいと感じていただけたのならよかったです。

──紹介の記事にも書いたが、困った顔がよかった。

「洋画俳優だとよくある」という趣旨で書いていただいていましたが、そうだと思っています。
 気持ちが表に出るときは、まず顔に出ますよね。もちろん顔に出ないときもありますけど、素直にやればそうなると思うんですよ。少しオーバー気味の表現にはなっているかもしれないですけど、無理せず、ありのままの気持ちが顔に出ているだけというか、そういったイメージでやっていますね。

──物語としても苦労の連続でなかなか笑顔にならないが、変な愛想笑いがいっさいなく、現実味があった。

 ありがとうございます。
 あのクリスという人物は常に真面目で一所懸命というところがあると思うのでだから(映画内で)常に困っていたと思うんです、ほんとうに。
 いちおう主役ということになっていますけど、自分で回していくというよりかは周りにいる人間たちに翻弄されて回されていくタイプの主人公だと思うんですね。
 だから自然と、あのように次から次へと災難が降り掛かってきて「どうしたらいいんだ」となる、そういう考え方でつくりました。

──この映画を一本やりきっての感想は。

 月並かとは思うんですけど、映画から教えられることってすごくあると思うんですよ。この映画に関して言うと「仲間」とか「友情」とか「感謝」とか人として大切にしなければいけない根っこの部分も生きていると忘れてしまうこともある。でも、この映画をやることでそれを思い出せましたし、口に出して「ありがとう」と言う機会が増えました。人が困っていたら「助けよう」と行動に移すようにもなりましたし、いま40歳なんですけれども、この年齢でこの映画に関われて、ほんとうにいい人生の転機になったなと思います。

◆月野もあ(副店長、ヒロイン) Interview

──作品上映後のLIVEは来場した仮面女子のヲタのみなさんを満足させるとともに、FC東京のファン、サポーターにもアピールするすばらしいパフォーマンスだった。LIVEを終えて自身の感想は。

 もう最高ですよ。We are Tokyo! We are Tokyo! という感じです。

──かなり東京に染まってきたのでは。

 いや、まだまだです。東京についてもっと勉強しないといけないことはいっぱいあるので。がんばります。明日の清水エスパルス戦はぜひ勝ってほしいなと(※収録は11月2日)。

──映画のイベントとはいえ仮面女子を応援する人々も多くほぼホームの雰囲気だったが。

 平日のなかだいぶファンの方も来てくださったので、そこに対する安心感がありつつも、東京のファン、サポーターの方のノリ方はやっぱり少しちがうじゃないですか、そういう方にもどうすればより楽しんでもらえるかを考えながらやっていました。
 まあでも、結局は自分自身が楽しむことがいちばんかなと思い、このすてきなグリーンホールで目一杯やらさせていただきました。

──グリーン……といえば、東京のイベントということで、あえて緑のリボンを外す一幕もあった。

 外しちゃいましたね。衣装ちゃんと着ろって怒られるかもしれないですけど。

──音楽をよくわかっているプロデューサーのもときちんとしたコンセプトに則った楽曲が送り出されてきて、劇場という活動の場を持っている、そんな仮面女子というグループのいいところ、好きなところとは。

 仮面女子はいまコロナ禍でLIVE数が減ってしまっているんですけど、私が仮面女子になりたての頃は365日LIVEをしていたんです。今月(11月)も15日から平日のLIVEが増えるので多い週には10本くらい出来るようになるんですけど、それくらい「LIVEが魂」という感じの……。
 仰るように劇場があってすてきな楽曲をつくってくださるプロデューサーがいたりとか、メンバーがほんとうに“仲間”という感じで。そういった面も私は今回この『ユルネバ』という映画に出させていただいているなかで、仮面女子のユルネバ感と言いますか、それに通ずるものがかなりあったな、と思って。それが仮面女子のいいところかな、と思います。

──アイドルグループとサッカークラブは似たところがあって、それこそアイドルのみなさんはサッカーなら選手に当たる存在だと思う。仮面女子とFC東京にも相通ずるものがあるのかもしれない。

 そうですね。
 それこそ私も調布市の味の素スタジアムに観に行かせていただいて、選手にワーッと手を振ったときに、私たちは「レスが返ってくる」と言うんですけど、サポーターの方たちが言う「ファンサ」とは言葉はちがうにしても、していることはいっしょだねと(廣山)あみちゃんと話したり、「似ているね」ということを語り合いました。

──アイドルも一過性のものではなくなってきたように思うが。

 ジャパニーズ文化ではあるのかなと思っています、私も。日本の文化のひとつかな、と。アイドルも。

──そのアイドルという仕事を仮面女子でやっていることの、もあさんにとっての意味とは。

 私は27なのでアイドル年齢で言えばかなり高いほうなんですね。仮面女子自体がわりと年齢層高めなんですけれども、ここに来たのが19の頃だったので、正直なところ27までやっているとは思っていなかったんですよ。
 でもつづけられるのも、つづけたいと思えるのも、ほんとうに「楽しいから」っていうそれで、お仕事と言えばお仕事なんですけど、お仕事をしているという感覚はあまりなくて。ほんとうに、私の人生にとって潤う部分がLIVEであり、私の存在価値は喜んでくれるファンの方がいることでそれが自己肯定感を高めてくれたりとか。

 私の作詞した最後にやった曲(『PROUD☆KNIGHT』/アーマーガールズ)が、まさに私のアイドル観を詰め込んだもので「私を肯定してくれたのはいつもみんなの声」「楽しみ方を見つけたものが勝ち」「死ぬ前に楽しかったと思い出す」という趣旨の詞があるんですけど、このアイドルをやっているいまを大切にしたいと思って、恵まれている環境のなかやらせていただいています。

──そのアイドル活動のひとつとして出演した今回の映画の話になるが、勤め先のスポーツバーを根城として試合の日にはスタジアムに女子で出かけるという行動に、すごくドキュメンタリーのような実在感があった。

 すごくうれしいです。監督の朝日さんには「東京のファンはこうだよ」「サポーターにはこういう女の子がいるんだよ」と思いや考え方や行動をすごく教えていただいたので、そこで私のなかでいっぱい吸収して、監督の演出もあり、あの演技が出来たのかなと思っております。

──実質的にはこの子がお店を切り盛りしていて真のボスなのかな、というところまで伝わってきた。

(笑)、伝わってうれしいです。ほんとうにその感じをじつは……と。
 あの4人のなかでいちばん東京が大好きで、だからある場面でちょっとキレちゃったりとかもするんですけど。この作品を観る方には東京のファンの方が多いと思ったので、うさんくささや気持ち悪さが残るとせっかくの作品がダメになっちゃうなと思いました。

 やっぱり、東京を知って私はまだ浅いんですけれども、そこは嘘っぽいものは絶対に残したくなかったので、そこがリアルに伝わったのであれば、これはもう感無量です。

──びっくりした。まさかとは思ったが演者の方自身がそう考えていたとは。

(笑)。うれしいです。最高の褒め言葉だと思います。

◆FC東京と仮面女子の共通点とは?

 よくアイドルとヲタの関係は選手とサポーターの関係に喩えられるが、そういうアイドルグループとサッカークラブが似ているという基本的な構図に留まらず、仮面女子とFC東京の共通点はほかにもある。

 まずは競争。東京の選手が小平で練習を積み、競争を経ないと公式戦のメンバーに入れないのと同様、秋葉原の劇場で修練を重ね、年に数回あるセレクションを経て認められないと候補生から仮面女子になることが出来ない。
 もちろん実力主義は年功序列とは相容れない。久保建英が2019シーズン前半戦の押しも押されぬ顔だったように、仮面女子のセンターである赤仮面の2代目を森下舞桜は16歳で襲名した。そう考えると、映画『ユルネバ2021 眠らない街-TOKYO NEVER SLEEPS』に月野もあの後輩として登場することの重みが変わってくる。

 なお仮面女子はいくつかのユニットに分かれていて、月野もあはアイルランド音楽の色を強く打ち出しているアーマーガールズのセンター。ベーシストや声優の顔も持つ芸達者だ。

 また、アイドルに必要なかわいらしさを整えてはいるが、評価の中心は身体を酷使するLIVEパフォーマンス。サッカー的に言えばハードワークが目につくスタイルだけに、泥臭い東京とも似た印象がある。

 そして東京に『You’ll Never Walk Alone』や『眠らない街』と言ったクラブを象徴する曲があるように、第2章をスタートさせている仮面女子にも『ファンファーレ☆』という象徴的な曲がある。映画『ユルネバ』の終盤、重要なシーンでかかっていた楽曲だが、この曲の歌詞の成り立ちについては自身で検索して調べてみてほしい。『You’ll Never Walk Alone』にも通ずるマインドがあることに気づくはずだ。東京がナガトモイズムなら、仮面女子はイガトモイズム。前向きな応援歌である『ファンファーレ☆』は、悔しい敗戦を喫したあとに聴いても嬉しい勝利を収めたあとに聴いても感動出来そうな楽曲だ。ぜひ一度、最初から最後まで通して聴いてみてほしい。

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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