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【ランダムフォーカス】澄ました顔で~児玉剛選手

水曜日の夜に行われた天皇杯準々決勝は、J1首位の川崎フロンターレに劇的勝利。前後半のアディショナルタイムを含めると99分の競技時間の中に、攻守の見どころがぎっしり詰まったゲームでした。その一つに、前半、ゴール前でボールキープする児玉選手に川崎の選手がプレスをかけて間近に迫るシーンが何度かありました。キーパーとフィールドプレーヤー(しかも相手は川崎)の足元の技術を常識で考えると、見ているこちらはヒヤリとさせられ、スタンドからも悲鳴のような声が上がりました。それでも、澄ました顔でプレスをかわして味方につなぐ児玉選手。足元に自信があるからこそのプレーでした。

このプレーについて、監督会見で嶋守生さんが質問してくれたのですが、木山監督は少し笑いながら答えていました。

「(フロンターレは)それほど前からボールを追い込んでプレッシャーをかけていくスタイルではないので、相手の様子を見て、つなぐ意思は示して行こうと。それで前にボールを運べて、少しでも自分たちがボールを持つ時間を増やせたら守備の負担も減るし、そこはやろうと言っていた」

ただ、児玉選手のところではかわせても、次のところでプレスをかけられて相手チャンスになってしまうことも。さすがにちょっとやりすぎではないかと見て、後半からは「もうちょっと状況を把握しながらプレーするように」と伝えたそうです。でも「つないでいこうという発想は決して悪くない」と、児玉選手のプレーを認めていました。

この試合はNHK BS1でも中継されていましたが、解説者の福西崇史さんも放送の中で「怖いなと思いますけど、ここをかわしてくれることで、相手を一人かわすことになるので助かりますよね」と話しています。

11人目のフィールドプレーヤーと言っていい、児玉選手の持ち味が発揮されたプレー。もっと児玉選手を信頼して、プレスをかけられたらワクワクし、かわしたら拍手を送るくらいにならなければ!と反省しました。

文・写真:頼野亜唯子

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