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【トピックス】J2第8節山形-岡山戦が史上初の再試合に。試合記録の扱いや再試合の詳細は未定。

 

Jリーグは4月5日に記者会見を開き、4月3日に行われたJ2第8節モンテディオ山形対ファジアーノ岡山戦について再試合を行うと決定した。
Jリーグにおいてルールの適用ミスによる再試合は史上初の事例となる。

同試合で問題となったのは前半12分にモンテディオ山形のGK後藤雅明が退場処分を受けた場面。山形の半田陸から出されたゴール方向に転がるバックパスを後藤雅明が手ではじき出した際に、清水修平主審が間接フリーキックのジャッジに加えて、後藤雅明にレッドカードを提示していた。
試合後の公式記録では退場理由について「S4:得点機会阻止(手)」と記録されている。

Jリーグの競技規則第12条「ファウルと不正行為」では「ゴールキーパーが自分のペナルティーエリア内で、認められていないにもかかわらず手や腕でボールを扱った場合、間接フリーキックが与えられるが、懲戒の罰則は与えられない」とされており、バックパスのジャッジに対してはカードの対象外となるルールだった。

今回の判例は、審判がジャッジの判断を間違えてしまういわゆる「誤審」とは異なり、ジャッジした際に適応するべき罰則を誤るという「規則の適応ミス」となる。
Jリーグは日本サッカー協会(JFA)を通じて国際サッカー評議会(IFAB)にも確認した上で、「勝敗の決定に影響を及ぼす、担当審判員による明らかな競技規則の適用ミスがあった」とリリースを出しており、試合自体の扱いが注目されていた。

会見でJリーグの黒田卓志本部長は「間接フリーキックを与えられますが、懲戒の罰則を与えられないということになりますので、当該プレーにおいてレッドカードを出してはいけないものであった」として、後藤雅明に対しての退場処分は誤りだったことを認めた。

理事会の中では、再試合だけでなく、試合結果を最終決定とする案も検討されたが、「競技規則の適用ミスによって、山形は約80分間にわたって1人少ない状態で試合を行うことになり、これは試合の結果に重大な影響を及ぼし得た」(黒田本部長)という理由も大きく、再試合に結論付けられたという。

「公平性の観点やJリーグの信頼をどう守るか。両チームの現場やサポーターの気持ちを考えると非常に辛いですが、再試合を設定することに決まりました」(Jリーグ野々村芳和チェアマン)

再試合の日時、方法、状況などは決まっておらず、今月末に開かれるJリーグ理事会で議論されるという。
「前半11分時点から実施するか、最初から90分間実施するのか」「メンバーを3日の開催時と同様にするか、制限を設けないか」「岡山FW木村太哉の得点や全選手の出場記録といった個人の公式記録の取り扱い」などもそこで検討されることになる。

ただ、再試合の日時については、コロナ禍における代替試合を設定する際の「45日以内に行う」というルールの適用外となり、両クラブとJリーグが協議した上で、両クラブにとって支障の少ない日に設定するという。
今年はJリーグ開催期間が短く、過密スケジュールになっていることから、両チームの負担に配慮した形だ。

また、退場処分を受けた後藤雅明の扱いについては、月末に行われる理事会とは別に、4月10日に行われる第9節ブラウブリッツ秋田戦より前にJリーグの規律委員会で話し合われるという。
このまま話が進んで結論が出れば、後藤の退場処分が取り消されて秋田戦の出場も可能となる見込みだ。

10人で厳しい戦いを強いられた末に敗れた山形だけでなく、勝利が無効になり再試合を行うことになった岡山にとっても負担の大きいJリーグ史上初の出来事。
どのような状況で試合が行われるかは不明だが、しっかりと白黒をつける結末を望みたい。

文・写真 嶋守生

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