山梨フットボール

無料記事「ゴールを決めた後にドゥドゥがサポーターが待つスタンドまで走った理由は感情の爆発だけではなかった」【コラム&インタビューから】

スタジアムで見ているときは感情が爆発してゴール裏のサポーターの元に走って行ったと思っていたが、ドゥドゥは深いメッセージを伝えたくてそこにいた。

島戦翌日の練習後、ドゥドゥにゴールについて話を聞いたときに思わぬ話になった。ゴール後、ドゥドゥはサポーターが待つゴール裏のスタンドに駆け寄って喜びを表現していて、「(オフサイドで徳島のゴールが取り消しになる前に主審に抗議して)イエローが1枚出ていたからゴール裏に長い時間いるともう1枚出てしまわないか心配していた」と伝えると、「大丈夫、ハーフタイムの後、レフリーに謝った」と話した後、理由を話してくれた。通訳なしで聞いたので趣旨だけになるが、喜びの感情が爆発して共有したいだけではなかった。

「多くのサポーターは来年も甲府はJ2のイメージを持っている思う。私はまだJ1のチャンスがあると思っている。例え1%の可能性だとしても私は戦う。サポーターには同じ(諦めない、信じる)イメージを持ってJ1昇格のために戦ってほしい。サポーターと一つになりたい。だから私はユニフォームのエンブレムを掴んで”ヴァンフォーレが私の人生”だと伝えました」

ゥドゥは勝ち点差が開く中で周囲のネガティブな雰囲気を感じ取ったんだと思う。鼓舞や伝え方のアイディアとして選手の背中をあえてネガティブな表現で押そうとする人もいると思うが、それはビッグクラブならアリな判断かもしれないが甲府にはそぐわないと思う。甲府には甘やかされている選手はない。新型コロナの影響を選手も受けていて、身を切りながらもそれを大声で言うことはないし、ピッチの上で手を抜くこともない。選手それぞれ心の中で思うことはいろいろだと思うが、ドゥドゥのように熱い――熱過ぎることもある――漢が、徳島まで来てくれて冷たい雨の中で一緒に戦ってくれたサポーターを通じて気持ちを伝えようとしたことは重いし、じんわりと確実に伝わる。

日本人とブラジル人の気質の違いがあるから、”ブラジル人は言うことがころっと変わるというか、切り替えが速い”と思ったことは何度もあるが、この瞬間はハッとさせられた。甲府は終盤戦に向けてもっと強いチームになれると思っているし、13ポイント差に開いたときも昇格の可能性を信じていたけれど、昇格できなかった時に自分の心が傷つかないようにする準備はなんとなくしていた…。頭の中のネガティブ系リトルが”こんなことを書いて、もし群馬に…”と囁きそうにもなるが、こっちのリトルを抑え込んで、”信じる気持ちだけが創ることができる未来を見てみたくないか?”と囁くポジティブ系リトルを育ててみようと思う。

(マツオジュン)

徳島戦はいつも揉める。でも、その中でしっかり戦い、勝つしかない試合で勝ち点3をもぎ取った。

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