【サッカーパック人気1位】 クラブ名を変えようとするオーナーは敵か味方か Jリーグがビジネス至上主…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マルキーニョス離脱・チームの総合力を試される戦い [J27節・仙台戦プレビュー] (藤井雅彦) -2,461文字-

マルキーニョスのいない今シーズンのチームを想像したことがあるだろうか。リーグ戦ではここまでランキング3位の16ゴールを叩き出し、ナビスコカップでは準決勝1stレグまでの出場8試合で6ゴールを挙げている、言わずと知れたリーグトップ水準のストライカーである。苦しい試合を彼のひと振りで勝利してきた試合も少なくない。サッカーとは無情なスポーツで、どんなに拮抗している展開でも、優れた人間の一発ですべてが変わってしまう。退屈な内容は忘却の彼方へと葬り去られ、幸せな記憶だけが残る。だから、どの時代も『ストライカー』は特別な存在なのだ。

開幕4-2-3-1藤田1top 今シーズンここまでフル稼働していたことが不思議と言えるかもしれない。リーグ戦で1試合だけ欠場した試合も、ナビスコカップでゴール後にユニフォームを脱ぐという愚行が原因である。負傷欠場ではなく、身体的にはすこぶる健康。昨シーズンは開幕前の負傷で離脱を余儀なくされたが、今シーズンは違う。開幕直後から健在をアピールし、37歳になっても優れたストライカーでいられることを誇示してきた。

それが前節の清水エスパルス戦後、左内転痛を訴えて全体練習から離脱している。室内調整に努め、ようやくグラウンドで姿を確認できたのは試合前日の金曜日だった。それもランニング調整のみ。毎日のように笑顔で帰宅するのものの、今節のベガルタ仙台戦は回避する。もっとも指揮官いわく「残り8試合のうち長引いて何試合も休むのか、それとも1試合だけ休むのか、ということ」。仙台戦が決勝戦ならば、おそらく強行出場するだろう。しかし、リーグ戦はまだ残されている。1試合をフイにしても、残り7試合に出場できるならば、そちらを選択するのが妥当だろう。

こういった判断を下せる理由はいくつか思い当たる。一つはチームが2位に勝ち点4差をつけて首位を走っていること。極端なことを言えば、この試合を落としても順位に変動はない。順位にあぐらをかいてはいけないが、ここまで安定して勝ち点を積み上げてきたことによる貯金が少しだけある。切羽詰った状況であれば強行出場してもらわなければいけないだろうが、いまのマリノスはそういった状況ではない。

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4-4-2仙台 もう一つは、ややネガティブかもしれないが、苦手としている仙台戦であること。最後に勝ったのは2010年8月で、以降はリーグ戦で6試合未勝利(3分3敗)の苦手チームである。圧倒的な差で負けるわけではなくても、接戦を勝ちきれない。ハードワークを厭わない相手に良さを消され、不完全燃焼のまま終わる試合がほとんどだ。マルキーニョスが出場できたとしても難しいゲームになるのは間違いない。誤解を恐れず言えば、年間の勝ち点計算の中で絶対に勝たなければいけないゲームではない。ましてや負傷離脱を長引かせるリスクを負う必要など、ない。

それでも間の悪さがあるとすれば、同じ試合で齋藤学が累積警告による出場停止を課せられていることである。Jリーグ史に名を残す絶対的ストライカーを欠くだけでなく、そもそも日本代表アタッカーがいない。戦力ダウンは避けようもなく、彼らの穴を埋める人材がベンチに控えるほどのメガクラブではない。残念ながら、いる人材で穴埋めするしか道は残されておらず、過度な期待は禁物かもしれない。

今週のトレーニングを見る限り、1トップの位置には藤田祥史が入る。リーグ戦では第11節・名古屋グランパス戦以来の先発となる。初先発を飾った第4節・FC東京戦では出場停止のマルキーニョスの穴を埋めるどころか痛快な2ゴールでチームを開幕4連勝に導いた。その活躍を見て、今後はさらに出場機会を増やすと思われたが、マルキーニョスの安定した決定力の前にベンチを温める機会ばかり。一時は2トップへのシステム変更でチャンスを得るも、結果を残せなかった。その後は試合終盤に投入されてもチャンスを生かしきれない日々が続いている。

齋藤の代役については佐藤優平と端戸仁の二択だが、どうやら樋口靖洋監督は前者を選ぶようである。今シーズン、齋藤の負傷は主に端戸にチャンスが巡ってきたが、最近では序列が変わり、佐藤がスタメン候補筆頭に躍り出ている。豊富な運動量をベースに、攻守に幅広く貢献できる選手ではある。しかしその一方で決定的な仕事をするには非力感が否めない。佐藤の先発起用は、藤田の先発によってFWの控え選手がいないことと合わせた、総合的な判断の感が否めない。つまり端戸をベンチに置いたほうが戦略的な選択肢が増えるということだ。

危機的な状況ではあるが、樋口監督は「試されているが、個人的には楽しみでもある」と笑顔を見せた。思い返せば、このようなアクシデントはもっと早くから起きていても不思議ではなかった。先発の平均年齢が30歳を超えるチームにもかかわらず、驚くほど負傷が少ない。今回のようにチーム力を問われるゲームはもっと多いと想定してはずだ。非常に苦しい状況にあるのは間違いない。しかし、首位のままリーグ戦を終わりたいのならば、乗り越えなければいけない試練が必ずやってくる。

「オレ個人としてはフジ(藤田)がやってくれると思う」

 榎本哲也は同い年のストライカーに期待を寄せた。不在選手の穴をカバーする筆頭はもちろん代役選手だが、同時に普段から出ているメンバーのフォローも欠かせない。間違いなくチームの総合力を問われる戦いとなる。

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