「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

優勝までのカウントダウン(1) つめかける報道陣のなかで -新潟戦4日前レポート (藤井雅彦) -1,106文字-

横浜F・マリノスのヴィクトリーウィークが幕を開けた。ジュビロ磐田に勝利した翌日、試合出場はリカバリーメニューをこなし、控え組はヴァンフォーレ甲府と練習試合を行った。そこから1日の完全休養を挟み、チームは26日からアルビレックス新潟戦に向けた準備を再開した。

練習は入念なウォーミングアップに始まり、フィジカル要素を兼ねた基礎練習、シュート練習と続く。最後はハーフコートゲームで締めたわけだが、途中で一人、また一人と練習を離脱していく選手の姿が。齋藤学、小林祐三、栗原勇蔵が途中でクラブハウスへ引き上げ、詰めかけた大勢の報道陣はざわついた。

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この事態について樋口靖洋監督は笑顔で応対した。「この時期なので、痛みを抱えている選手もいる。今日はオフ明けの立ち上げの日なので、練習量をコントロールした。大事なのは悪化させないこと」と説明し、個々の判断に委ねたことを明かした。齋藤は依然として左足首の状態に不安があり、小林は右足首、栗原は左ひざに痛みを抱えている。無理を強いるよりも、個々のコンディショニングを信頼して任せたという。

練習風景から見える変化はほかにない。2時間弱となった全体練習で、中村俊輔や中澤佑二は若手同様にフルメニューをこなし、後者はいつもどおり居残りでクールダウンを行った。兵藤慎剛や中町公祐はランニングシューズに履き替えて笑顔でグラウンドを周回し、榎本哲也はGK練習ではなくランニングで汗を流す。各々のリズムでオフ明けを過ごした。

今週は報道陣も大挙しており、少なくとも外野が穏やかではいられない一週間になる。そんなとき、経験豊富な選手が多くいるのは心強い限りだ。優勝を知る男・中澤は今週のポイントについて「これまでと同じように過ごすこと。今週で突然変わったことをやるというのは変な話。自分はいままでどおりのペースでやるべきことをやる」と普段と変わらない表情を見せた。変えるのではなく、変わらないこと。それが最大のキーワードとなるだろう。

明日以降、新潟戦のための戦術トレーニングがいよいよ始まる。けが人の動向も気になるところで、試合に向けて目処を立たせたい。と同時に心理面の変化をつぶさに観察しなければなるまい。多くの選手が初体験となるタイトルを懸けた1週間である。選手や監督は変わらぬ状態で土曜日の14時を迎えられるのか。とにもかくにも、王手をかけているトリコロールにとって重要な1週間がスタートした。

 

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