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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

とにかくカッコ良くて、とにかくずるい。それが僕にとっての松田直樹です [松田直樹の笑顔が蘇る – 小椋祥平インタビュー] (無料記事)

【小椋祥平さん特別インタビュー】

インタビュー・構成:藤井 雅彦

 

松田直樹がこの世を去った201184日から、今日でちょうど10年が経った。

そこでヨコハマ・エクスプレスは特別インタビューを実施。

公私ともに松田と親しかった小椋祥平さんに、チームメイトとして過ごした当時の話を語ってもらった。

色褪せない記憶とともに、背番号3の笑顔が蘇る――。

 

 

僕がマリノスに移籍加入したのは2008年で、マツさんがマリノスを退団したのが2010年の終わりなので、一緒にプレーしたのは3年だけなんですよね。それに最初の半年は委縮してまったく話せなかったので、付き合いとしては実質2年半くらい。それなのに思い出がたくさんありすぎて、めちゃくちゃ濃厚な2年半でした。

最初にクラブハウスで会った時の衝撃は今でも忘れられません。僕にとってマツさんはマリノスや日本代表で活躍する「テレビの中の人」でした。実際に会ったら雰囲気やオーラに圧倒されて、話しかけるなんておこがましくて。だからいつもイジられているアマ(天野貴史)がうらやましかったです(笑)。

 

 

でも距離が縮まってからはとにかく可愛がってもらって、たくさんお酒を飲まされました(笑)。自分はあまり飲まず、周りにいる人間ばかりに飲ませるんですよ。今の奥さんは当時の彼女で、お酒の席に連れて行ったこともあります。マツさんにしっかり潰されていました(笑)。でもお酒の席のことは詳しく覚えていないんです。なぜなら最後は必ず潰されて、気がついたらタクシーで家に帰っていたから。

ある日、練習が終わってから「オグ、坊主にするぞ」と突然言い始めたのには驚きました。それで自分や若い選手、それからスタッフが“被害者”にった(笑)。でもマツさんはずるい。スタイル抜群で顔が小さいから、丸坊主が似合ってカッコいい。身長が180cm以上あって、肩幅が広くて、完全にモデル体型なんです。

 

 

練習が終わると、リラックスルームでいつもウイニングイレブンをやっていました。コミくん(小宮山尊信)や(田中)裕介と4人で、22に分かれて対戦していたけど、誰もマツさんと同じチームになりたくない。負けた時に本気で怒られるんです。「サッカー脳がない」とか「そこ見えてないかー」とか、よく言われたなぁ。ゲームの世界なのにサッカーを教えてもらっている気分でした。

マツさんとはダブルボランチを組んだこともあるし、ボランチとセンターバックで縦に並んだこともあるし、3バックを一緒に組ませてもらったこともあります。どのポジションでも能力とセンスでプレーしているので絶対に真似ができない。(中澤)佑二さんは見本になる選手でしたけど、マツさんは唯一無二すぎて見本にならなかったです(笑)。僕はそんな選手を他に知りません。

子どもっぽくて、やんちゃで、気分屋。完璧な人間ではなくて、むしろダメなところもたくさんある人。でも、本気になった時や気分が乗った時はすごい力を発揮するし、周りの人間を巻き込んでチームを引っ張っていってくれる。そのギャップがまたカッコいいんですよね。

プレシーズンキャンプの練習試合で口論になったことがあります。僕がミスした時にぶつぶつ言われて、そこから言い合いになりました。

 

「こんな練習試合でミスしてるんじゃねぇよ」(松田)

「じゃあお前はミスしないのかよ?」(小椋)

「さっきからミスばっかりじゃねぇかよ」(松田)

 

こんな感じで(笑)。その時はすごく腹が立ちましたよ。その時は誰もマツさんに言えない雰囲気で、僕だけが嚙みついた感じだったのかな。

でも練習試合が終わってから謝りました。そうしたら「全然いいよ。グラウンドの中のことだろ」って何もなかったように言ってくれて。それで宿舎の同じ部屋に戻って、すぐにウイニングイレブンが始まりました(笑)。そのあたりの切り替えの早さというか、器の大きさもマツさんのすごさです。

そうそう、納会のエピソードがありました。僕はマツさんや(河合)竜二さんの近くの席でいつも通りお酒を飲まされていたけど、お酒を飲まない佑二さんはトレーナーやマネージャーの近くにいたんです。そうしたらマツさんが「ボンバーと乾杯してこいよ」って、絶対に無理なのにお酒を持って行かされて。そうしたら案の定、めちゃくちゃ説教されました。後ろを振り返ったらマツさんがケラケラ笑っていた(笑)。

 

誕生日に手荒い祝福を受け、レンズに向けてこのポーズ(撮影:藤井雅彦)

 

そうやって笑っている姿が頭から離れません。だから練習中に倒れたと聞いた時も、飲みすぎて倒れたんだろうくらいに考えていました。そのまま亡くなってしまうなんて想像もしていませんでした。身近な人で年齢も比較的近い人が亡くなったのはマツさんが初めてで、葬儀の時も実感が湧かなかったです。

「お前、どうやって相手のボールを奪ってるの?」と興味津々な様子で聞かれたことがあります。褒められているようでうれしかった。それなのに、突然会えなくなってしまうなんて……。今でも携帯電話にマツさんの電話番号が入っています。残しておいても仕方ないのかもしれないけど、どうしても消せません。

もう10年も経ったなんて信じられないけど、84日が来るたびにマツさんを思い出します。

僕は現役を引退したばかりなのでファンやサポーターにまだ覚えてもらっているかもしれないけど、もうちょっとしたら忘れられていくでしょう。でもマツさんは永遠に忘れられることがありません。不謹慎かもしれないけど、あんな亡くなり方をするなんてカッコ良すぎます。

とにかくカッコ良くて、とにかくずるい。それが僕にとっての松田直樹です。

 

 

 

tags: 小椋祥平 松田直樹

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