「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マリノスサポーターはマルキーニョスをどのような対応で迎え入れるべきか [J16節神戸戦プレビュー] (藤井雅彦) -2,147文字-

 

左SBのポジションにドゥトラが入りそうだ。この40歳のブラジル人SBは今月いっぱいで現役を引退することがすでに発表されている。先日の天皇杯2回戦・ホンダロック戦に先発出場し、試合後にはゴール裏を中心に熱い声援を受けていた。彼がトリコロールのユニフォームに袖を通してプレーするのは、多くても2試合を残すのみ。明日のヴィッセル神戸戦と27日のアウェイ・名古屋グランパス戦である。つまりホームゲームは神戸戦がラストゲームで、その試合に先発しそうな気配が漂っている。

4-3-2-1_後半戦 いろいろ考えてしまうし、同時に勘ぐってしまう。試合後には引退セレモニーなるものを準備されており、彼の第二の人生に送り出すならば、やはり試合に出場していたほうが物事は円滑に進む。誤解を恐れずに言えば、営業的な側面で先発なのではないか。そんな類の疑問を抱くのは筆者だけではないだろう。

当面の理由は左SBのレギュラーである下平匠が、セレッソ大阪戦で左足の親指を痛めたからである。相手との接触プレーで負傷したようだが、結局はそのセレッソ戦でフル出場し、終盤には見事なスルーパスで一時は逆転となる齋藤学のゴールをお膳立てした。そして神戸戦前日の練習もフルメニューこなしており、今ディ損に問題があるようには到底見えない。にもかかわらず彼は神戸戦ではベンチにも入らず、次節の名古屋戦に向けて調整する。

なんとも腑に落ちない人事ではあるが、下平が多少なりとも痛んでいるのは事実で、セレッソ戦のパフォーマンスが抜群だったとも思わない。コンスタントに試合出場しているドゥトラのほうが攻守ともに計算が立つというのが正直なところだ。ただ、今シーズンに関しては試合出場が少なく、パフォーマンスがなかなか上がってこない。現役ラストゲームになるかもしれない試合で、いったいどのようなプレーを見せるか。期待半分、不安半分といったところか。
そのほかのメンバーはセレッソ戦から変わらない模様だ。途中出場で攻勢の流れを作り出したラフィーニャだが「実戦で1トップを試していないし、伊藤翔も1トップの役割を十分果たしてくれているので変える必要がない。いまは2トップにするときの切り札が一番いいのかな」と樋口靖洋監督。[4-2-3-1]が基本システムである以上、スタメン起用に踏み切るのはなかなか難しい。指揮官の言葉通りなら、攻撃的なオプションである[4-4-2]を採用したときに途中出場させ、攻撃を加速させる狙いだろう。

 

 

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神戸4-2-3-1最後に、神戸にはあのマルキーニョスがいる。昨シーズン終了直後に退団が決定したから、昨シーズン最終節の川崎フロンターレ戦以来の再会となるサポーターも多いはず。彼は古巣戦に滅法強く、在籍時は鹿島アントラーズ戦でハイパフォーマンスを見せ、清水エスパルス戦ではハットトリックを達成した。まずはその対象がマリノスにならないことを願うばかりだ。

その上で、マリノスサポーターは彼をどのような対応で迎え入れるべきか。クラブとの契約が折り合わず、タイミングとしては悲しい退団となったが、マルキーニョスはあくまでプロとしての決断を下した。神戸は複数年契約を提示し、そして彼は今年だけでなく来年も結果を残せるであろうプレーをここまでしっかり見せているのだ。昨シーズンの優勝争いは彼抜きには考えられず、チームはいまだに彼の影を追っている状態でもある。個人的には、ブーイングよりも拍手で迎えるべきだと考えているが、さて。

 

 

【今節のキーマン】
DF 22 中澤 佑二

前節のセレッソ戦後はわかりやすいくらいに落ち込んでいた。「90分プレーして最後の1秒か2秒だけ気を抜いた。申し訳ない」とガックリ。失点場面のクリアミスを悔やんでの言動だったのは明らかで、この一言だけでミックスゾーンを去った。
それを受けて、今節は怖いくらいに気合いが入っている。試合前コメントにもピリピリとした緊張感と危機感を漂わせ、足早にクラブハウスを出て行った。
対マルキーニョスという視点になってしまうのはマリノス関係者なら仕方のないことだが、中澤の目標はあくまで無失点ゲームだ。リーグ戦再開後は2試合で3失点しており、その数字について「守備陣にとって恥」と吐き捨てた。クリーンシートで試合を終えることが彼にとっての最低目標で、そのうえで攻撃陣の爆発を待ちたい。
昨シーズンもミスが先行した試合のあとは、鬼神のごとくゴール前に立ちはだかった。続けて何度もゴールを許すなど彼のプライドが絶対に許さない。栗原勇蔵とともに神戸攻撃陣を封殺し、マリノスに勝ち点3を呼び込む。

 

 

 

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