「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

六反勇治の完全移籍 ・・・マリノスとの複数年契約はもう1年残されていた(藤井雅彦)

昨日7日、マリノスはGK六反勇治がベガルタ仙台に完全移籍することを発表した。六反は2012年にアビスパ福岡から加入し、昨季まで3年間在籍した。先輩GKの榎本哲也や飯倉大樹の陰に隠れ、定位置確保には至らなかった。しかし誰からも愛される性格でしっかりとセカンドGKを務め、チームに安心と安定をもたらす素晴らしい選手だった。

 

410732e6929a040dd4c6454865ef7753

しかしながら、J2・福岡からJ1の名門クラブにステップアップを果たしたにもかかわらず、3年間でリーグ戦出場は2試合のみ。榎本の負傷時やナビスコカップ予選リーグ、あるいは天皇杯で出番を得た際はしっかり結果を残したものの、本題であるリーグ戦での出場機会は限られていた。

特にリーグ戦出場への思いが強くなったのは移籍3年目の2014年に入ってから。最初の2年間はベンチスタートでもなんとか自我を抑えることができていたが、試合に出場した際や、あるいは練習でも、自身の成長を実感できていた。だからこそリーグ戦で自分の実力を試したいという衝動に駆られた。年齢も加入時の2012年1月は24歳だったが、いまは27歳になった。さまざまな意味で状況は変わりつつあった。 マリノスとの複数年契約はもう1年残されていた。新監督の下で榎本や飯倉とポジションを争う選択肢もあった中で、GKがアキレス腱になっていた仙台が獲得に乗り出す。マリノスは六反を必要としていたが、一方で年齢を考えたときにも出場機会を確保してあげなければいけないという親心もあった。無償ではなく仙台から違約金が入ることも後押しし、マリノスは六反を手放す決断をしたのだ。

退団する際のリリースに掲載されていたコメントは、六反の素晴らしい人間性を示している。「キーパーは出場機会が限られているポジションです。今年はいつもよりも2割増しでいいので、椋大、潤人を応援してあげてください」。こんな言葉はなかなか思いつかないだろう。ならば我々も敵になる六反を2割増以上で応援しようではないか。

六反勇治が仙台で成功することを切に願う。

 

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ