「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

比嘉祐介、佐藤優平、天野純の3選手がどう絡むか [ナビスコ6節川崎戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,708文字-

今シーズンのマリノスが、リーグ戦に比重を置いているのはここまでのナビスコカップを見れば明らかだ。というよりもカップ戦軽視と言うべきか。それが明日の試合で突然変わるはずもない。カップ戦の先発メンバーを決める基準は大きく分けて三つあり、まず一つ目がけが人の状況である。そして二つ目がリーグ戦を見据えて選手を休ませること。最後に、出場機会の少ない主力選手にプレータイムを与える、もしくは若手の出場機会を確保する。
「週末にはリーグ戦ではとても重要な試合がある」(エリク・モンバエルツ監督)。リーグ戦4連勝を達成し、30日のガンバ大阪との一戦はまずまず盛り上がりそうだ。順位表の3位と4位の対決で、勝ったほうが上に行く。相手の試合数が少ないことはこの際無視しよう。暫定とはいえマリノスがガンバよりも上に立ち、サンフレッチェ広島の結果次第では2位になるかもしれない。こうなったら激アツだ。

4-4-2_2015B そんなビッグゲームが待ち受けているのだから、当然のように主力組は明日の川崎フロンターレ戦に出場しない。しかしながら最終ラインはけが人が多く、栗原勇蔵や奈良輪雄太、あるいはCBでもプレーできる熊谷アンドリューはまだ負傷離脱している。したがって中澤佑二、ファビオ、下平匠は少し大変な連戦になる。そのほかの8選手は直近のリーグ戦から入れ替わる見込みだ。

富澤清太郎、榎本哲也、兵藤慎剛、伊藤翔といった面々はリーグ戦で先発しても不思議ではない選手で、何も心配はいらない。そこに比嘉祐介、佐藤優平、天野純の3選手がどう絡むか。先週のヴィッセル神戸戦でも先発した3選手たちだが、大きなインパクトは残せなかった。リーグ戦の主力組に食い込むためにはアピールが足りない。それを明日の目標にしてもらいたい。

 

 

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川崎4-4-2 そして最前線にはラフィーニャが復帰する。もはや何のけがで離脱しているのか分からないほどアテにできないが、持っているポテンシャルはもちろん高い。本人曰く「ベスト体重だ」と自信をのぞかせており、たしかにシルエットも絞れてきた気がする。出場時間を増やせば必ずゴールシーンに絡むだろう。心配なのは負傷のリスクだけで、明日の試合で負傷して週末のガンバ戦に出られないのは最悪のシナリオだ。そういって点におけるモンバエルツ監督のリスクマネジメントも注目したい。

可能性ゼロではないが、カップ戦での決勝トーナメント進出は絶望的である。しかし、自分たちが招いた結果なのだから仕方がない。それでも先週の前半のように勝利への渇望が見えない戦いは勘弁してもらいたい。勝てなかったとしても、勝ちを目指す姿勢を伝えなければダメだ。出場選手はいかなる理由があろうとも、プロとしての責任を果たさなければならない。

 

【この試合のキーマン】
GK 1 榎本 哲也

 彼がリーグ戦での先発を外れて、チームは結果的に4連勝を達成した。飯倉大樹は安定しているが、ファインセーブを連発したわけではない。それよりも相手との力関係の上に成立した4連勝だろう。榎本はそれを頭で理解していても、なかなか消化しきれない。悶々とした日々を過ごしている。
先週のヴィッセル神戸戦は明らかなBチーム構成で戦い、一時は同点に追いついたが結果は2-3で敗れた。榎本は3失点したことを悔やみ「これがいまの自分の力のなさ」と肩を落とした。どの失点もGKの自責点ではないが、必要以上に自分を責めてしまう精神状態なのだろう。
どこかで、何かきっかけをつかんでほしい。この試合で完封勝利しても正守護神の座に返り咲けるわけではないが、何よりも自分自身のために勝利してもらいたい。榎本の力が必要になるときは、この先必ずやってくるのだから。

 

 

 

tags: 佐藤優平 天野純 比嘉祐介

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