「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

天野純に期待したい [2nd13節仙台戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,812文字-

明日はアウェイでのベガルタ仙台戦だが、この試合は齋藤学を欠いて臨む。湘南ベルマーレ戦前日に痛めた右足首が、その湘南戦に出場したことで悪化した模様だ。今週に入ってからは別メニュー調整で仙台戦出場を目指していたが、試合前日の時点で全体練習に合流できていない。「(齋藤)学は今日もいなかったので、無理だ」。エリク・モンバエルツ監督は齋藤の欠場を明言している。

4-3-2-1_2015 そのため右MFのアデミウソンが左MFにスライドし、右には天野純が入る。今週の練習では天野純と仲川輝人が交互に起用されていたが、仲川を切り札として持つという意味も含めて天野純がリーグ戦初先発を飾ることが濃厚だ。藤本淳吾や兵藤慎剛といった実力者も務められるポジションだが、指揮官はプロ2年目・天野純の勢いと成長力に期待している。

そのほかの10人については前節までと同様の面々だろう。それよりも齋藤の不在が与える影響は小さくない。今シーズンは6ゴールという数字以上にオフェンスの核として重要な役割を果たしていた。中村俊輔不在の1stステージは下がった位置でボールを運ぶ役割を担い、2ndステージになってからはアデミウソンとともに高い位置で相手に脅威を与えた。齋藤とアデミウソンはまさしく攻撃の両輪で、一人ではなかなか機能しない。

それが顕著に表れたのが1-1に終わった湘南戦である。アデミウソンは高い位置でトリッキーなプレーを見せたが、右足首痛の影響もあってか齋藤の出来がイマイチだった。筆者は二人の個人能力で湘南を圧倒できると推測していた。しかし、実際には彼らが本領発揮できなかった印象が強い。もちろん湘南の守備陣が体を張っていた側面もあるが、そもそも彼らとマリノスに問題があった。

したがって天野純に課せられるハードルはかなり高い。リーグ戦初先発で求められるのが齋藤の代役なのだから、少々荷が重いか。最近の両MFはタッチライン際に張り出すよりも中央に入り、1トップやトップ下の選手との距離感を保つことが重要になっている。これは天野純の特性とシンクロする部分であり、能力を発揮しやすい環境になりつつある。あとはJ1の仙台相手にどれだけできるか、だ。

 

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天野純が存在感を発揮できなければ、またしてもアデミウソンの単騎頼みになってしまう。すると中村のポジショニングも下がり、伊藤翔が孤立する。天野純のパフォーマンスは、チーム全体の歯車を少しずつ狂わせる遠因になりかねない。三門雄大や喜田拓也がポゼッションに特化したボランチではないのだから、ゲーム支配はいよいよ難しくなる。言うまでもなく攻撃の不出来は守備にも影響を与えるだろう。

天野純に期待したい。ど同時にそれ相応のプレッシャーに打ち克たなければならない。出来試合では仲川へのスイッチのタイミングも重要になる。仙台は年間順位11位で2ndステージ15位と煮え切らないシーズンを送っているが、決して簡単な相手ではない。

 

【この試合のキーマン】
FW 9 矢島 卓郎

 特別指定選手の富樫敬真が腰痛で離脱し、FWの席が空いた。そこに滑り込んだのは端戸仁ではなく矢島卓郎だった。5月以来のベンチ入りとなる明日の一戦で、大仕事をやってのけるか。
今週の練習では主力組のファビオをなぎ倒す強靭なフィジカルを見せつけた。エリク・モンバエルツ監督がその様子を見てベンチ入りを決めたとしても不思議ではない。日本人離れした体格とパワーは、まったく錆びついていない。
伊藤翔の調子が悪くないことを考えると、アクシデントがない限りはまとまった出場時間を確保できないかもしれない。与えられる時間は長く見積もってもラスト10分とアディショナルタイムか。だが、たった一度のチャンスがあればゴールに結びつけるポテンシャルを秘めている。それが矢島だ。

 

 

 

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