「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

チームが勝つことを前提として、選手個人としては目に見える結果がほしい [天皇杯4回戦 広島戦プレビュー]

 

 

「まずはどんな形でもいいから準々決勝に進出することが目的」とエリク・モンバエルツ監督は言う。一発勝負のトーナメント戦なので、ここまでのリーグ戦の結果や順位はまったく関係ない。守備を優先した考えた場合、90分で決着がつかない可能性も十分あるだろう。延長戦を含めた120分ゲームの采配、やPK戦を踏まえてのマネジメントが必要なのは言うまでもない。

 それと同時に、マリノスとしては週末のヴァンフォーレ甲府戦を無視するわけにもいかない。それは対戦相手のサンフレッチェ広島も同じことが当てはまるだろう。マリノスはタイトルやACL出場権獲得を含めた上位争いに身を置き、広島は残留争いから少しでもリードしたいところ。両チームに共通して言えるのは、この一戦が“決勝戦”ではないということ。どれだけ余力を残した状態で土曜日を迎えられるかも視野に入れながらの戦いだ。

さまざまな事情を踏まえた上で、直近のリーグ第26節・柏レイソル戦(1△1)から大幅に先発を入れ替えるだろう。継続して先発起用される選手については、やや消極的な理由か。まず登録の都合でイッペイ・シノヅカはこの一戦に出場できない。栗原勇蔵は違和感を訴えた左太もも前の状態が完調ではなく、ベンチにも入らない可能性が高い。CBはパク・ジョンスとミロシュ・デゲネクという組み合わせが有力で、すると外国籍選手枠の問題でマルティノスはベンチにも入れない。

 

 

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次に、リーグ戦におけるダブルボランチの座は中町公祐と扇原貴宏と喜田拓也の3選手が争っている。柏戦では中町と扇原が先発したため、今回は喜田の先発が確定的。相棒の選択に注目が集まったが、指揮官はダビド・バブンスキーを起用する模様だ。トップ下には前田直輝を据え、右サイドには遠藤渓太が入る。選手ありきで考えるならスムーズな起用法と言えるだろう。

 ただし機能性は未知数。相手が格下ならダビド・バブンスキーのボランチ起用も大きな穴にはならない。ボールを前へ運ぶという点ではレギュラーボランチよりも性能が高いかもしれない。しかしながら守備面で過度な期待は禁物。守勢に回った際はどうしても苦しくなるだろう。準備期間は試合前日のみだからなおさらである。

そういったいくつかのエクスキューズはあるものの、先発の面々を見ていくとなかなかの戦力レベルに見える。最近のリーグ戦ではベンチ入りすらままならない遠藤は右MFで先発予定。試合に向けて「相当なインパクトを残さないとリーグ戦につながらない」と語気を強めた。チームが勝つことを前提として、選手個人としては目に見える結果がほしい。相当なインパクトを残して、初めてリーグ戦につながる。遠藤の言葉はおそらく正しい。

リーグ戦で3位以内に入れる可能性はおおいに残されている。ただ、天皇杯というタイトルも大切に考えたい。成功体験の一つとして、リーグ戦以外でも優勝経験できれば…。未来に向けた血肉を蓄えるために、この4回戦を通過点としたい。

 

 

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