「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

<無料> 天皇杯決勝、ベンチ外メンバーを含む全選手が帯同し前泊して年を越す。サポーターも含めてどれだけ一体感を高められるか [天皇杯決勝 C大阪戦プレビュー]

 

 

今日は12月31日、大みそか。「この時期までサッカーができるのは2チームだけ」という言葉は天皇杯のファイナル進出チームにとって定番になっているが、ここまで担当クラブを追いかけられる番記者も2チーム分だけ。記者冥利に尽きる、の一言である。

日本サッカー界のカレンダーに異を唱えるつもりはないが、1月1日が仕事納めになるのは我が国ならでは。1月1日が仕事始めの日とは言わないまでも、新年の幕開けの日なのは間違いない。旧年が良い年だった人も、そうではなかった人も、心機一転できるのがお正月の特権のはずだが、明日に関しては天国と地獄の分かれ目となる。

そんな天皇杯決勝は、マリノスにとって2017シーズンの仕事納めの日となる。同時に、エリク・モンバエルツ監督にとっては指揮を執った3年間の最後の日にあたる。勝っても負けてもお別れだが、勝てば『ACL出場権獲得とカップ戦優勝』という二つの目標を同時に達成できる。その可能性を残しているだけでもすごいことだ。

だがしかし、対戦相手のセレッソ大阪との相性は今シーズンに限れば最悪。リーグ戦は2戦2敗と後塵を拝し、ルヴァンカップのグループステージでも敗れた。もともとテクニックに優れたメンバーの多いチームが、ユン・ジョンファン監督就任によって戦えるチームに変貌した印象がある。相手にとって不足なし。でも同じ相手に1年間で4回負けるとしたら、確率的にどのくらいだろう。そんな確率論に意味はあまりないのだが、ここでも負けるとしたら相性は本当に最悪だ。

 これまで何度も書いてきたように、今シーズンは同じ形で長い時間戦ってきたわけではない。理由はさまざまだが、主力選手を固定して戦って天皇杯を勝ち取った2013シーズンのチームとは様相が大きく異なる。その最終形がリーグ最終節・浦和レッズ戦(1○0)や先日の天皇杯準決勝・柏レイソル戦(2○1)だった。

そう思っていたら、最後の最後に残念なアクシデントによる変化が待っていた。柏戦において左ふくらはぎを肉離れした扇原貴宏が戦線離脱。古巣戦にとなる決勝戦はピッチに立てない。その柏戦のウォーミングアップ時に右ふくらはぎに違和感を覚えていた山中亮輔は火曜日と水曜日を別メニューで過ごし、オフ明けの金曜日から合流。どうやらこちらはスタートからピッチに立てそうだ。

そして気になるのは金曜日の練習で右ふくらはぎを痛めたウーゴ・ヴィエイラの状態だが、土曜日は終日グラウンドに姿を現さず。ファイル出場は難しいかに思われたが、試合前日の今日はまずスプリントやジャンプで患部の状態を確認し、最後は控え組ながらフォーメーション練習に参加した。常識的には考えられないスピードで状態が戻っており、欠場濃厚から一転し、18人のメンバー入りに大きく近づいた。

 準決勝がそうだったように延長120分を想定しなければならない戦いだけに、負傷再発で途中交代のリスクを考えると先発は難しいかもしれない。だが、限られた時間で仕事のできるストライカーがベンチに控えているだけで、相手に与えるプレッシャーは大きく違うだろう。1トップの先発は好調の伊藤翔に譲り、ビハインドの状況などどうしても得点がほしい場面での仕事を託したい。

今シーズン最後の公式戦には、ベンチ外メンバーを含む全選手が帯同し、ホテルで前泊して年を越す。雌雄を決するのはピッチの中だが、ピッチ外でどれだけ一体感を高められるかも重要な要素だろう。サポーターも含めた総力結集で、2017シーズンの最終日と2018年の最初の日を、歓喜で祝いたい。

 

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