「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

天野とバブンスキーが揃って先発することで左右のキッカーがピッチに。復帰の扇原と山中は試運転として上々。 [石垣島キャンプ8日目レポート(練習試合:海邦銀行SC)]

[リザルト]

日時:1月27日(土)13時~
場所:サッカーパークあかんま

対戦相手:海邦銀行SC
形式:45分×2本

スコア:9-0(5-0、4-0)

得点者:1本目13分バブンスキー、1本目23分伊藤、1本目36分伊藤、1本目38分伊藤、1本目41分伊藤、2本目7分堀、2本目13分和田、2本目20分仲川、2本目40分仲川

 

予想通り3日前のFC琉球戦と同じ11人が1本目でプレーした。「昨日のトレーニングがハードだったで、選手に疲労があるのは分かっていた」(アンジェ・ポステコグルー監督)状況でのゲームだったが、相手との力差を考えると主導権を握れるのは当たり前。序盤からショートパスをつなぎ、狙いとするアタッキングフットボールを展開していった。

最初にゴールネットが揺れたのは13分。天野純が倒されて獲得したゴール正面からの直接FKを、ダビド・バブンスキーが見事に決めた。天野とバブンスキーが揃って先発することで左右のキッカーがピッチにいる。サッカーのスタイルとはあまり関係ない話だが、公式戦ではそれなりに実効性を発揮しそうだ。

 

 

 

23分には相手ディフェンスラインをランニングで攻略した伊藤翔がきっちり決めて2点目。その伊藤は36分にバブンスキーのスルーパスに抜け出し追加点を挙げると、38分にも波状攻撃の仕上げとして天野のラストパスを押し込んだ。さらには41分、下平匠のクロスから胸トラップ&シュート。背番号16は4得点の大暴れとなった。

 

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 2本目からはメンバーを総入れ替え。こちらもFC琉球戦の2本目途中以降のメンバーが中心となったが、負傷明けの扇原貴宏がアンカーとして、山中亮輔が左サイドバックで今季初の実戦に臨んだ。これによって金井貢史が右サイドバックに回り、さらにはセンターFWの位置には卒業式のためキャンプを離脱した町野修斗に代わって和田昌士が入った。

まず扇原と山中だが、2本目の26分に交代するまでアクシデントなくプレー。前者は持ち前の展開力を発揮し、7分には堀研太への正確なラストパスでアシストに成功した。後者は相変わらずのアグレッシブな姿勢でタッチライン際を何度もアップダウン。精度の高いクロスは惜しくも得点につながらなかったが、ともに試運転としては上々の内容だった。

試合は堀の得点後、13分に和田が追加点。20分にはこぼれ球を拾った仲川輝人が左足で決め、最後は40分に再び仲川がダメ押しゴールを決めた。堀はルーキーながら果敢に仕掛ける姿勢を披露し、レンタルバックの2選手はゴールという結果でアピール。相手が疲れてきている時間帯だったことは差し引いて考えるべきだが、目に見える結果を出せたのはひとまずポジティブな材料だろう。

 

今日の堀研太は18番を着用

 

石垣島キャンプは残すところ明日の1日のみ。ただグラウンドでの練習は行わず、前回の練習試合翌日同様に宿泊施設を利用してリカバリーを行う模様だ。したがって実質的にはこの日の練習試合でキャンプは打ち上げで、ポステコグルー監督は「キャンプは自分やコーチングスタッフが選手を知る重要な機会であり、選手が自分たちを知るための機会でもあった。食事や移動を一緒に過ごすことができて良かった。最初のステップとしては良い時間だったと思う」と総括した。

 

 

指揮官が考えるサッカーとピッチ内外で求める姿勢は、今キャンプを通して選手に伝わったはず。中澤佑二の言うとおり「グラウンドの中と外の両方で変化があるので、それに一生懸命取り組んでいる段階。最初からネガティブに考えるのではなく、まずやってみるという姿勢が大切」である。

細かな部分での変化は多い。しかしながらサッカーの内容と質が抜本的に変わったわけではない。選手の顔ぶれが大きく変化していないことも含めて、あくまでも昨季から上積みしていくというクラブのスタンスが垣間見える。本格的なチーム作りに着手するのは宮崎キャンプ以降か。変化の胎動が感じられた石垣島での日々が、もうすぐ終わろうとしている。

 

 

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