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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

【無料記事】「取り戻しつつある日常」+天野貴史インタビュー

 

取り戻しつつある日常

気がつけば夏が過ぎ去り、涼しい風が吹く季節になった。そんな折、帰ってきた男がいる。プロ8年目の26歳、不動のムードーメーカー・天野貴史である。

悲劇が襲ったのは、まだ冬の寒さが残る3月のことだった。ホーム開幕戦を2日後に控えた3月15日、チームは試合で使用する日産スタジアムで非公開練習を行った。Bチームの一員として出場した紅白戦で天野は芝生に足をとられて転倒。起き上がれず、そのまま地面を叩いた。歩いてピッチを出ることすらできない状況に、本人も重傷を悟った。

告げられた診断結果は『左ひざ前十字じん帯損傷』で復帰まで8ヵ月を要するという最悪のものだった。患部の腫れが引くのを待ち、ひざにメスを入れる。術後の入院を経て、退院したのは5月に入ってからのことだった。

それからは辛く、地味なリハビリの日々を送った。「階段の昇り降りはもちろん、自然に寝転がることもできなかった。サッカーどころか私生活を送ることも難 しかった」。当時を振り返り、苦い表情で言う。クラブハウスに来ても、室内で地道なトレーニングを繰り返すのみ。仲間がグラウンドでボールを蹴り、その日 の調子や週末の試合結果に一喜一憂するのを見て、どれだけ羨ましかったことだろう。

夏が近づくにつれて、少しずつトレーニングの強度が上がった。天野はこの期間の嬉しかった事柄に「外でウォーキングできるようになったとき」と笑みをこぼ した。太陽の見えない室内でリハビリしていた人間にとって、暑い陽射しを見るのは前進している動かぬ証拠だった。ボールを蹴れなくても、芝生の上を歩ける 幸せを感じていた。

しかし、そこからリハビリのピッチが急激に上がるわけではない。久保田トレーナーとの二人三脚は続き、少しずつ段階を踏んでいく。「少し先に進んだと思っても、そこで立ち止まるように2週間くらい同じことを繰り返す。それでようやく次の段階に進める。本当に良くなっているのかわからない。それが辛かった」。動けるようになりつつあるからこその苦悩だった。

その頃になるとチームメイトが戦う姿を見るのも苦しかったという。どうしても気持ちが前のめりになり、苛立ちを久保田トレーナーにぶつけることもあった。それでも選手思いのトレーナーはいつも笑顔で天野をサポートした。

そして9月25日の火曜日、ようやく全体練習に合流できる日がやってきた。それは負傷した日から半年以上が経過した初秋であった。対人練習こそできないものの、元気印の背番号2がダッシュからクロスを上げる姿がピッチにある。それはマリノスが半年ぶりに取り戻した日常であった。

翌26日も部分合流し、27日は室内でひざの休養日に充てた。2日連続で練習参加していただけに天野の姿ないことを心配したサポーターがいたかもしれないが、決して再発やアクシデントがあったわけではない。あくまで予定通りの調整で、完全復帰にはもう少し時間がかかる。その過程で休養日もあるということだ。

今後は10月中旬の練習試合復帰を目指して調整していく。復活の舞台は公式戦のピッチが似合うはず。再起に向けて、天野は順調に歩を進めている。

 

 

【voice of players:天野貴史】

イジられるのも恥ずかしかった

――今週から全体練習に合流した

「久しぶりにサッカーをするので緊張した。半年ぶりくらいだし、こんなにサッカーから離れたことがないから。イジられるのもなんか恥ずかしかった(笑)」

――痛みや不安は?

「ひざの痛みはないけど、まだ筋肉が完全に戻っていない。いまは逆足にくらべて80%くらいの状態なので、完全復帰までもう少し時間かかると思う。ここで無理をすると違う負傷になってしまうので」

――クロスはある程度蹴れているように見えるけど

「ボールを止めて、蹴るという動作は問題ない。インステップでシュートも打てる。でも実際の試合になったら思い通りにトラップできないときもある。そういうところにボールがある場合、自分がしっかり蹴れるか、まだわからない」

――守備の動作は?

「咄嗟のリアクションがちょっと怖い。ボール回しをしている場面で、ボールを追う練習はしている。でもボールを奪うときは足を伸ばしたり無理な体勢になったりする。そういうプレーは来週くらいからやっていきたい」

――復帰の目処は?

「まだ紅白戦にも出られていないのでまだまだ。来週は少しずつ練習の幅を広げて、来月の半ばには練習試合に出た。そのまま出場時間を伸ばして、11月の頭に公式戦に復帰したい。ようやくここまで来たので、焦らず頑張りたい」

 

 

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