石井紘人のFootball Referee Journal

【無料記事/連載:Jリーグ紀行第2回】2012J1第4節 浦和×川崎 家本政明審判団評

 

あくまでも個人的な意見だが、槙野の2枚目はどうだったのかなと思う。我々はもうすでに一人退場者が出ていたわけだし、2枚目が必要だったかというのは」「私たち監督はミスを指摘される。選手たちもそうだ。そして、我々はミスを認める。しかし、審判たちにそういった場がない。日本サッカーをよくするためには、もっと審判をディスカッションする場が必要だ。」

今日の会見でのペトロビッチ監督のコメントだ。

 

1分、裏から押した浦和のファウル。3分、オーバーヘッドを狙った川崎選手に【危険な方法でのプレー】でファウルをとる。26分、遅れて足にスライディングタックルした鈴木にアドバンテージ後にしっかりと警告を与える。38分、ボールにプレーしようとしたが、足を蹴る格好になってしまった小松に注意を与える。このコミュニケーションのとり方が、スタジアムや選手の怒りを静める絶妙なものだった。このシーンが最たる例で、家本主審の前半のレフェリングは見事だった。それは後半になっても変わらない。61分、ボールにプレーできる範囲外で相手にチャレンジした槙野に警告。63分にはゴールネットが外れたため、330秒程度試合が中断する。71分、遅れて足にスライディングタックルした阿部に警告。

 

迎えた74分、大きな判定が起きてしまう。

槙野のパスミスをインターセプトされ、それを防ごうとした阿部が遅れて足をスライディングタックルしてしまう。阿部もスライディングタックル後に、一瞬、間があったように、覚悟の判定。家本主審も当然、二枚目の警告を与えた。大きな判定があったからか、直後のポポの中村に対する不用意なチャージにペトロビッチ監督が不満をみせるが、家本主審はガス抜きをするコミュニケーションをとる。76分の中村への警告は、マルシオの踵をふむような格好だったため、警告を与える。スタンドからは分かりづらい判定だ。

80分には、さらに大きな判定が起こる。

ワンツーで裏に抜けようとしたレナトを、手でブロックした槙野のファウル。当然、警告で、二枚目で退場となった。

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