「川崎フットボールアディクト」

【レポート】J1 1st. 第6節 川崎vs鳥栖 友人に捧げる大久保嘉人のゴールで、終了間際の劇的な勝利を手にする

■劇的な決勝点
試合中に声を出すことはあれど、拳を突き上げて叫ぶことはあまりない。取材者として、いつも冷静に試合を見ようとこころがけているからだが、この試合ばかりはそんな自制心など吹っ飛んでしまった。

第4の審判が提示したアディショナルタイムの3分に近づこうかという最後のプレーの場面。珍しくチョン・ソンリョンが超ロングキック。一度は跳ね返されるが、中村憲剛、原川力とつなぎ、田坂祐介が苦しい態勢の縦パスをギリギリ触る。

小さく「よし」とつぶやきつつ、続く小林悠が相手のDFとのギリギリの競り合いを制してターンしたあたりから期待値がぐっと高まる。確実にスタジアムのテンションは上がっているはずなのに、この場面を思い出しても無音なのが不思議だ。

小林はこの場面。

「嘉人さんならあそこに居るだろうと思って。思い切り振りきりました」と振り返る。中を見る余裕もないギリギリのクロスが、その先に走りこんでいた大久保嘉人の元に。

「ドンピシャでしたね」と振り返る大久保は「なんでオレもあそこに居たのかがわからない(笑)」と苦笑いするしか無かった。

この試合、決定機をことごとく外し続けた男の渾身の一発がゴールネットを揺らした瞬間。スタジアム中のフラストレーションが開放された。叫び声というよりも怒号とでも言うべき歓声が空間を満たした。

(残り 1602文字/全文: 2157文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ