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【レビュー】J2第7節千葉0-6湘南@フクアリ「完敗中の完敗。問われる継続と進化」(文:西部謙司)2014/04/14

■湘南スタイルに完敗

 完敗中の完敗でしたね。作りかけのジェフスタイルが湘南スタイルに粉砕されたゲームでした。ただし、0-6はプレースタイルのせいではありません。千葉と同じスタイルでも、レアル・マドリードなら湘南に完敗することはないわけで。大敗は力の差です。あるいは、力の差を甘くみた結果といえるかもしれません。

 もし、0-6になることがわかっていたら、千葉は同じゲームプランで臨んでいたでしょうか。おそらくNOでしょう。もちろん、そんなことは事前にわかるはずないのですが、これだけの差があることは認識していなかったと思います。

 湘南は「湘南スタイル」を自ら打ち出しているチームで、曹貴裁監督によると「リスクを冒す勇気を持ち続けること」だそうですが、もう少しわかりやすく表現すると、「攻守に数的優位を作るサッカー」ということになります。戦術的にはV・ファーレン長崎に似ていますね。長崎といえば、千葉が苦手としている相手です。湘南は、いわば長崎の強化バージョンですから相性としてはかなりよろしくない。

 湘南はここまで6戦全勝で首位を独走、千葉も当然対策は立てていました。左右のクロスボールのケースで大外の選手が余ることを意識した守備の練習もしていました。しかし、そのとおりの形で失点しています。いってみれば、火が出てからの消化訓練はしていたのですが、失火を防ぐ対策がなかった。実際にやってみたら、火が出てから消しにいっても全然間に合わなかった。まず、なるべく火を出さないようにしなければいけなかったわけです。

 もっと悪い予感を持つべきでした。構築中のスタイルで湘南に挑むのはリスクが高すぎた。プライドを捨てても、スペースを消して相手の長所を封じるほうが被害は少なかったはずです。それで勝てるとはいいませんし、そうすることが本当にいいかどうかもわかりません。ただ、0-6は回避できたのではないかというだけですが。

■湘南の数的優位の作り方

 連勝した千葉は、CBの大岩一貴が前節の退場で出場停止。大岩のポジションにはキム・ヒョヌンを起用します。好調の谷澤達也は2列目の右サイドに定着、左は前々節の退場で前節に出られなかった井出遥也が2度目の先発でした。他のメンバーはいつもどおり、ボール保持を意識したメンバー構成です。

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