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[W杯座間レポート]日本の真の実力とは?(日本対リビア戦マッチレポート)

日本の3点目を決めた稲葉洸太郎をチームメートが祝福する。

北原亘がリビアの選手からボールを奪いにいく。

森岡薫は前半何度も1対1で仕掛けたがこの日得点を奪うことはできなかった。

 

 

文・写真◆座間健司

 

 

後半、リビアが日本に対抗するには限界があった。

 

2011年に革命が起きたリビア。国の最高指導者が替わり、共和制国家が終わるという大事変だ。国の代表チームの活動も止まってしまった。2010年1月にリビア代表にスペイン人監督のパブロ プリエト監督が就任。チームはブラジルで行なわれる国際フットサル大会グランプリへの参加や世界選抜戦を行うなど継続的に強化をしてきた。しかし、内戦が始まり、チームはバラバラ。ワールドカップ予選を勝ち抜き本大会の出場権を獲得したが、パブロが2010年から指導していた選手は3人戻ってきただけで、あとの選手はストリートサッカーなどで見つけてきた選手たちだった。つまりリビアは即席のチームだ。

 

日本はそのリビアに前半苦しむ。ポルトガル戦の後半、3点差をひっくり返した日本のフットサルは圧倒的だ。このゲームに胸を熱くした人間もいるだろう。ただこの日本のパフォーマンスは真の姿ではない。あれは“奇跡”だ。ポルトガルと10回試合をしたとしてもあの後半のパフォーマンスは1回できるか、できないか。あれほどパワープレーがかっちりとハマることも珍しい。ワールドカップの雰囲気がそうさせたのか。ポルトガルはあの時間帯、妙に浮き足立っていた。ミゲル ロドリゴのパワープレーを仕掛けるという決断と、選手の冷静なパフォーマンスがなければあの“奇跡”は生まれなかったのは事実だが、ポルトガル戦の後半に見た日本だけを見ていては日本の真の姿を見誤る。

 

ポルトガルから後半に3点を奪ったが、日本は前半だけで5点を奪われている。20分で欧州の強豪国相手に3点を奪えるポテンシャルを持つ日本だが、まだその高度なパフォーマンスは40分間続かない。ブラジル戦でも後半早々の2分の間に2点を奪われている。世界の強豪国と戦っても全くリズムが落ちずにプレーできるのはグループリーグを見るかぎり20分程度だ。日本は40分、安定して高いリズムと強度でプレーをすることはできない。

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