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代表キャプテン木暮賢一郎、“日本の未来”を語る

 木暮賢一郎、33歳。

 

“グレ”こと木暮賢一郎。ワールドカップで史上初の予選突破という結果を残した日本代表のキャプテンとして2012年にもっとも名を売ったスポーツ選手のひとりだ。帰国直後、奥様の実家で久々に家族団らんのひとときを過ごしているグレに日本代表強化のための4つの質問をぶつけたところ、まるでせきを切ったかのように日本代表を、自分自身を語りだした。奔放な言葉の海。彼に話を聞いてから約1か月半が経過したが、年初を飾るにふさわしい大型インタビュー記事となった。編集部は、グレを知ってほしくて、可能な限り彼の言葉をそのまま記事にしたが、読者は、彼の独特のいいまわしのなかに深い含蓄を読み取ることだろう。

 

写真協力◆SFIDA http://sfidasports.com/

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

[PROFILE]

こぐれ・けんいちろう 1979年11月11日生まれ、神奈川県出身。中央大学進学後、ウイニングドックでフットサルに本格転向、リーガ天竜(静岡県)ほかで腕を磨く。3年時に日本代表に初選出。その後FIRE FOXに移籍し第7回全日本選手権、第2回地域チャンピオンズリーグ優勝に貢献。日本体育大学大学院2年時にフットサル日本代表として世界選手権に出場。大学院修了後、スペインリーグ2部クリペウス F.S. ナサレノへ移籍。2005年、2006年AFCフットサル選手権MVP、2006年AFC年間最優秀フットサルプレーヤー、2007年AFCフットサル選手権得点王。2007-2008シーズンよりスペインリーグ1部カルニセール トレホンへ移籍。2008年11月にFリーグ・名古屋オーシャンズへ移籍し以後、「絶対王者」の一員として奮闘。2012年、3度目のワールドカップにキャプテンとして臨み史上初の予選突破を果たす。175cm・65kg。

 

 

路線の確立と環境の整備

 

Pivo! 最初の質問です、日本が強くなるために何が必要か?

 

グレ 単純に、日本代表が強くなるためには、2つの道があると思うんですよね。1つは、今いる選手で世界のトップを相手にどうやったら勝てるかってところを考えること。それはもちろんどういう選手を選ぶかもそうだと思うし。そのなかで戦術というか、自分の経験からいうとアジアのなかで勝つことと世界のトップに勝つことに関してスタイルは若干違う部分はあると思うし。そこに合う選手、より力を発揮できる選手によっても多少違いはあると思うし。ディフェンスがよくて、ボール回しがよくてという、その、今ある戦力と、ブラジル、ロシア、スペイン、ポルトガルを相手に現実的にどうやって勝ち点を取れるかとか、っていうところをより明確に。ミゲルもそういうことを思って進めていたところはあるし、路線というかスタイルですよね、を突き詰めていかないと、監督はそういうオーダーを出すだけではなくて、選手ひとりひとりが感じてトライしていくってのもあるし。

 

Pivo! もう1つは?

 

グレ もう1つは、小さい頃からフットサルをやる環境であるとか、フットサルを小さいときからプレーできた選手は大きくなると思います。僕もそうだけど高校卒業してフットサルに転向する、ということではなく、10歳前後からサッカーだけでなくフットサルもやりながらとか。もちろん、仮にサッカーに転向する場合でもよりポテンシャルの高いというか、サッカーでぎりぎりプロに引っかからなかったくらいのポテンシャル、もともとフットボールのポテンシャルが高い選手が、より早くフットサルに出会ったり。理想はそれよりもっと前ですよね。育成年代であったり。そういう選手が出てくるというのは当然時間もかかるし、ちゃんとした指導者がどれだけ、フットサルの本質を理解しているコーチ、という話になると恐らく、Fリーグを経験した僕ら世代が引退して指導者に転向してそこで経験を積んで、という話になると思うんで。当然それは2年3年で結果が出る話じゃないですから。ただ、そこは絶対に必要なところだと思うし。ということころで強くなるためにはといわれるとそこの2つを両方からアプローチしていかないと。

 

僕がちゃんと始めたのは高校のとき、18歳ですね。フットサルボールで、フットサルシューズ履いて、ちゃんとしたフットサルのベースというか基礎的な動きだったりボールコントロールだったり、そういうところも触れて。理想はそのベースから戦術的なものまで、サッカーと一緒ですね、18歳とかごろにプロの世界というか、トップカテゴリーでデビューする時点でもうすべての必要なことはある程度、教わってきて経験もして、あとはトップのカテゴリーで実戦積みながらいろんな成長をしていく。フットサルのベースとしては18歳までにある程度学んでいるという状態の選手が出てくれば違ったものが見えてくると思う。

 

先進国と厳しい環境

 

Pivo! グレ自身、18歳でフットサルに切り替えた自分を振り返ってみて遅いと思う?

グレ ぜんぜん遅いですよ。それでも(当時は)早いほうだったと思いますけど。例えば今回の決勝まで行ってるスペインの25名のリストを見たら、何人かの選手は、僕が25歳で最初にスペインリーグ2部に行ったときに17、18歳で2部でデビューした彼らが結果を出して1部に上がって。で、今23とかで代表に入って何人かは軸になっている、もしくは、ぎりぎりのところで落ちてるって子たちがうじゃうじゃいるっていう現実。このワールドカップが終わればそういった選手がスペインリーグを支えていく。てこと考えれば、もちろん(トップリーグに)2部もあるということも含めて一概に環境まで一緒じゃないんで、難しいですけどデビューのタイミングとか年齢のことに関していえば、17、18歳の彼らと、日本の18歳くらいとを比べてしまうと雲泥の差。それはまあ、唯一、近いところでいえば、逸見がそうであって。

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