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町田・関野淳太監督インタビュー・2「今年は滝田と大地に前で仕掛けてもらう」(2014/5/18)

image監督就任4年目の今季はよりオフェンシブなチームにすると語るペスカドーラ町田の関野監督。

 

image ペスカドーラ町田の契約レストラン「コトシタ」。利用すれば町田の選手と遭遇するチャンスがあるかもしれない。写真は食べログのHPのスクリーンショットです。

http://tabelog.com/tokyo/A1327/A132701/13128287/

 

監督インタビューその1は、Fリーグに置ける名古屋オーシャンズと他チームとのプレー環境の格差に関する記述で締めくくった。日本人は差を痛感しつつも“それを口に出しちゃおしまいでしょ!”という思いからか発言を慎む傾向にある。でも、ブラジル人は黙っていない、という話だった。では、名古屋以外のチームはどうすればいいのか。当たり前のことだが、独自の努力でチームのプレー環境をよくしていくしかない。ペスカドーラ町田の場合、その1つがこれ、という話の口火を関野監督が切ってくれた。

それと今回のポイントとなる部分でいうと、浦安の岡山前監督の手腕に言及した部分だ。インタビューで関野監督は、岡山前監督の分析力とゲーム終盤の思い切ったプレーを選択する決断力を高く評価しているが、実は、このときすでに、自身の補佐役だった横山コーチの退団が決定していて、その後がまを捜す作業が始まっていたのだ。その渦中ですでに関野監督の脳裏には高度の分析力をもつ岡山を補佐役に置きたいという思いが強く沸き上がっていた。もしかするとその未発表の事実をそれとなく教えてくれていたのかもしれないが、残念ながら凡才の僕には感じとることができなかった。感知していたら話はもっとディープなものになっていただろうに。ま、そんなしょっぱい思いを胸にインタビューその2を始めます。長いですが、最後まで付き合ってください。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

▼クラブ契約レストラン誕生

関野 クラブとしてはだから、現場で選手と監督、スタッフが技術、戦術的なことをしっかりやっていかなきゃなんないけど、一方でフロントと両輪でやっていかないといけないと思います。クラブとしてもその環境をいかに上げてくかっていうのを、同時進行でやっていかないといけないでしょうね。

Pivo! そのとおり。

関野 うちはそれが今のGMになってからすごく変わったと思うんです。年々環境がよくなっている。クラブの未来に可能性を感じてます。具体的には、今年でいうと、練習が終わった後に選手が食事をできるレストランがあるんですよ。

Pivo! 契約レストランということ?

関野 そうです。そこで、1日1回、夜でも昼でもどっちでもいいんですけど、選手は自由に行って食事ができる。

Pivo! へぇ~、それってブラジルやイタリア風だ。それって、プレー環境の向上につながるよね。

関野 いやぁ、もちろんです。選手たちのモチベーションも上がりますよね。クラブとしては、お給料をポンポンポンポンっと払ってはいけないけど、できるだけ選手たちに経済的な負担がかからないようにするためのサポートを、町や市を巻き込んでいろいろやってくれてるんで。「コトシタ」というダイニングレストランで、町田の駅前です。だから、多摩センターで練習をして、帰りにみんな町田のお店に寄って食事をして、それぞれ仕事に行くんです。定食もあるんですけど、すごくオシャレなお店なんですよ。この前僕も行って来たんですけど。(資料を見せて)これです。

Pivo! へぇ~、おしゃれな感じのお店だ。

関野 そうなんですよ、しゃれたお店で。

Pivo! なるほど。選手を取り巻くクラブの環境、確実に変わってるね。

関野 選手たちはすごく喜んでますよ。

▼フロントと現場の一体感

Pivo! 山本GM、なかなかやるね。

関野 いやーもう、すごいっすよ。ほんとに。イゴールとれたのだってそうですし。

Pivo! そうそう。昨シーズン終盤に、監督が“ディフェンスの核になるゴレイロが欲しい”と記者会見で発言したでしょ? それを受けて記者会見後に山本GMに話したら“現場からそういう声があるのなら前向きに検討します”といってたが、シーズンオフに現実に形にしちゃった。あれには正直、驚いた。

関野 そうなんですよ。だからもう、僕らが要望を出すと、それに対してすごく必死に動いてくれるです。

Pivo! すばらしい。戦力補強はフロントの基本的な業務かもしれないが、そうやって打てば響くように形にしてくれたら、監督も選手も頑張らざるを得ない。

関野 本当にそうだと思う。こんだけフロントにやってもらってるんで、現場でオレたち結果出さなきゃいけないっていう、そういう、いい関係でやれてると思うんで。

Pivo! 先ほど話題にあがった昨季のホーム最終戦でレオが逆転の第2PKを決めたときなんてベンチでレオが山本GMと抱き合って喜びを爆発させていた。フロントと選手のあの一体感。感動したよ。

▼戦うメンタリティ重視

Pivo! フロントと現場のいい関係の話はそのくらいにして(笑)。関野監督、あなたは自分自身をどんなタイプの監督か。改めて話してほしい。

関野 僕はどちらかというと、選手に訴えかけるというか、そういうタイプです。その試合を迎えるにあたって、選手たちに対して、どういうメンタリティで試合に臨まなきゃいけないのかっていうことを、すごく僕は、重要視してる。

Pivo! 戦うメンタリティ。

関野 もちろん、戦術どうこうってこともあるんですけど、やっぱり、その試合に対しての入り方のメンタリティとかは、すごく重要だと思っていて。なので、監督就任初年度に筑波大学の先生を呼んでメンタルの講義をしてもらったりっていうことをやってきました。だから、どちらかというと僕はそういうところ、何が大事なのか、メンタル的に何が大事なのかっていうことを伝えています。

Pivo! なるほど。

関野 あとはまぁ、試合を前に相手の分析をして、相手はこういうことしてくるから、こういうことしたほうがいいってことも、当たり前にはやるんですけど、僕が重要視しているのは、やっぱり、この試合に臨むにあたって、どういうメンタリティで、どういう風にしていったらいいのかっていうことを、選手たちに訴え続けるっていうことが、僕は、重要だと思ってやってきたんで。僕は選手としてもやってきて、サッカーも含めていろんな監督に会ってきたけど、重要なのは監督じゃないってこと。選手のときに僕が普通に思ってたのは、やっぱりやるのは自分であり、コートに立つ選手だから、自分がその試合に対して、チームのために何をやらなきゃいけないか、何を求められているのかっていうのを考えつつ、じゃ、その中で自分がどういうふうにしていくか、どういうふうに振る舞って、どういうふうに試合を終えていくのか、っていうことを、考えられる選手っていうのが絶対的に上にいける選手だと思っていて。ひとつの駒にしたくないんすよ、選手を。僕が、これをやるっていってるからそれをやりなさい、やれないからじゃアウト、違う選手を、じゃなくて。チームとしてベースがある中で、ひとりひとりの選手がその状況状況でしっかり判断をして、いい選択をしながら、ゲームを進めていけるっていう選手が、もしピッチの中に5人そろってたら、それはすごくいいチームになると思うし。全員が監督くらいの冷静な状況判断を持てるようになってもらいたいっていうことは、ずっと思っていて。だからあんまり僕は、当てはめないというか、もう、これをやんなさい、っていうのよりは選手の判断に委ねる、そういう監督ですね。

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