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湘南ベルマーレ・岡田彬伸、“浦安で埋もれていた男”が自ら輝くために課したスタイル変更とは(2015/8/2)

FAO賞を授与される岡田第14節のホームゲームで試合後に湘南フットサルアカデミーからFAO賞を授与された岡田。

 

岡田彬伸(おかだ・あきのぶ/25歳)。関東リーグ1部バルドラール浦安セグンドでプレーしていた昨年までの彼のプレーぶりを知る人はベルマーレ入りした今季のプレーぶりに驚きを隠せないだろう。当時の彼は、しゃにむにドリブルで仕掛けていく血気盛んな若者だった。その結果、ディフェンスに引っかかり数的不利を招く。そういう印象を少なくとも僕は抱いていた。はまれば華麗なドリブルからシュートにまで行く。しかし、その確率は低い。厳しい言い方をしてしまえば“使えない選手”だった。一時期、浦安でトップチーム昇格を果たしながらも「埋もれていた」(横澤監督)のはそのためだったはず。その彼が湘南のサテライト、ロンドリーナの生え抜きの選手ではないのに今季頭から順当に試合出場を果たしている。その背景には「Fリーガーとしての生き残りを懸けた」自己との戦いはもちろんのこと、自らに課した高い目標に向けての戦いがあった。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

横澤監督とはブラジルつながり

話の核心に触れる前に、岡田を湘南ベルマーレに誘った横澤監督の縁について触れよう。2人の初遭遇はブラジルだった。

横澤監督がサンカエターノでプレーしていたとき、リーガパウリスタ(サンパウロ州リーグ)で対戦したスザノに岡田はいた。そのときの横澤監督の印象は「若いのにわざわざブラジルまで来てフットサルを学ぶなんてまじめだな」というものだった。

その彼が帰国後、バルドラール浦安セグンドで出場したピヴォチャン2014でMVPに選ばれ、関東リーグ1部でベストファイブに選ばれたのを知った横澤監督は、「ああ、成長してるんだなと思って。でも浦安で埋もれているようだ。だったら声をかけてみようかな」というの発端だ。

勧誘までの経緯を聞くと、縁があるからだけ? と思ってしまうが、その裏にはもちろん明確な裏付けがあった。

昨年、湘南のコーチになった横澤はシーズン途中から監督に昇格しているが、当時から一貫して選手に伝えてきたことが、「チームのシステムの中で個を生かすせ!」だった。その構想にぴったりの潜在能力を秘めていたのが岡田だったのだ。

セグンドとの環境の違い

久々にその岡田のプレーを見て、プレースタイルの変化に正直びっくりした。いや、プレーの幅を広げた、といったほうが正確か。しかも、プレーのひとつひとつが明らかにレベルアップしている。ドリブルで仕掛けて目の前のマークをはがす動きから、2人目が詰めてくればパスに行き、リターンを受けてシュートまで行く。非常に効いてるなぁという印象を受けた。そのことを本人にぶつけてみた。

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