「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第4回 ベレーザの命脈(2016/04/13)

第4回 ベレーザの命脈

4月9日、プレナスなでしこリーグ1部第3節、日テレ・ベレーザ vs 岡山湯郷Belleの試合に足を運んだ。会場は多摩市立陸上競技場。好天に恵まれ、1,191人の観客が来場した。

日本の女子サッカーは曲がり角に差しかかっている。先月、なでしこジャパンはリオデジャネイロオリンピックの出場権の懸かったアジア最終予選に臨み、3位に終わった。ブラジル行きの2枚の切符はオーストラリアと中国が獲得した。

2011年、FIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会、優勝。2012年、ロンドンオリンピック、準優勝。2014年、AFC女子アジアカップ、初優勝。2015年、FIFA女子ワールドカップ、カナダ大会、準優勝。近年のなでしこジャパンは、まさに偉業の連続である。その流れにとうとう終止符が打たれた。

なでしこの頭上に金色の紙吹雪が舞ったとき、僕は祝福の気持ちと同時に、今後避けられないだろう喪の仕事の大変さを思った。チームの成長は、創造と破壊のサイクルで成り立っている。苦心の末に作り上げたものを、壊すことでしか新しい何かは生み出せない。世代交代と言葉にするのはたやすいが、世界の頂点に立ったチームである。末永く語り継がれるに違いない歴史的なメンバーである。段階的に進めるとはいえ、この喪の仕事は至難に思えた。ところが、なでしこは継続路線を歩み、結果を出し続けた。その持続力、底力はほとんど畏怖の対象だ。

なでしこの次なる目標は、2019年のFIFA女子ワールドカップ・フランス大会。2020年の東京オリンピックだ。巷では、ビッグイベントの空白による女子サッカー界の危機が囁かれる。おそらく一時的には落ち込むだろう。だが、彼女たちは代表チームのためだけにプレーしているわけではない。

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