動き回る蜜蜂たち—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 2-(松沢呉一) -3,227文字-
「冬の台北は熱かった—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 1 」の続きです。
蜜蜂と遭遇
酒がない店、臭豆腐の臭いがする店が耐えられない平野さんと、歩くのが速すぎる私は行動をともにするのは無理と初日で悟り、以降はだいたい別行動でした。もともと二人とも個人行動タイプなので問題なし。
八日は公園でリスと遊んで、官公庁街、書店街、電気街などを見て回り、昼の西門を探索。
暗くなってから台北駅に戻ったのですが、新光三越の前で、蜜蜂発見(写真はその時のものではなく、その翌日の様子。背景に見えるのが完成した新しい台北駅)。
同性婚についてのビラを配ったり、一人一人に話しかける活動をやっているのを「蜜蜂」と呼びます。
とくに今回は同性婚支持のコンサートの宣伝もあるので、蜜蜂たちは盛んに路上に出て宣伝活動をやっています。
すでに国会での審議も始まっていて、そうなるとともに、同性婚反対の活動も活発になっていて、潤沢な資金をもとに、新聞やテレビで広告を出しまくっていて、全国合わせて十万人から二十万人に達する反対集会を開いています(実数はその数分の一だとの説もあり)。
韓国のプロテスタントほどの信者数はおらず、よって韓国のように力を背景にした強引かつ異常としか言いようのない行動までは見られないのですが、キリスト教団体が中心なので、金があるし、信者を動員するのはお手の物。
これに対して、賛成派もカンパを集めて広告を出し、今回のコンサートを企画。台北だけで、反対派を超える人々が集結したい。ありあまるほどの金はないし、組織も弱いけど、熱意でカバーというわけで、蜜蜂たちは必死なのであります
※新光三越は、もともと台湾にある新光百貨店と日本の三越による合弁企業らしい。
また芽生えた恋心
最初に話した上の写真の彼はいいヤツで、日本から来たと知って、彼らへの差し入れられたスポーツドリンクまで私にくれました。ジジイ手前の老体を労ってくれただけだと思いますが、恋心が芽生えました。蜜蜂に刺されましたぜ。
台湾に行くと男子を好きになる傾向はなお続いています。だって、かわいいんですよ、台湾男子は。
夜は西門へ。こっちはもっと蜜蜂が多い。昨日は時間が遅かったため、すでに引き上げたあとだったよう。
西門のあちこちに分散していたので、正確な数はわからないのですが、百人くらいいたんじゃなかろうか。
皆さん、堂々としていて、ことごとく写真もOK。マスクをしている女子も一人だけいましたが、あれは風邪じゃないかな。
新光三越前でもらったステッカーを胸に貼っていたので、皆さん、フレンドリー。
本当はそうじゃないのだけれど、「同性婚支持のコンサートのために台湾に来た。日本はまだまだ同性婚の実現までには遠いので、先に台湾で実現して欲しい」と話を極端に短く説明して、感激してもらいました。噓とも言えますが、中国語でも英語でもその場でスラスラと正確に伝えることは困難ですもん。
本当にみんな一所懸命で、「Facebookはやってますか。写真をFacebookに出してください」と言います。台湾に住んでいるFacebookの「友達」もいますけど、私が出したところで、ほとんど効果はないでしょう。それでもできることはすべてやる。少しでも台湾で起きていることを知って欲しい。その熱意に打たれました。
なお、被写体の選択は私の趣味が入ってます。そんなに意識していたわけではないのですが、明らかにそうなってます。実際にはガチムチも多かったのですけど、そっちはあんまり興味がないものですから、全然撮ってないっす。
こういう活動にガチムチ集団が参加していることを見せるためには撮っておくべきでした。あとで聞いたら、ゲイバーやゲイショップなどのゲイビジネスで食べている人たちも多数参加し、金も出しているとのこと。それでこそのこの盛り上がりです。
HIV対策の拠点でもある西門
「星空露店広場」だけじゃなく、渋谷で言えばセンター街みたいな通りに、レインボーフラッグを掲げている店もいくつかあります。右の写真はカフェだったかと思います。
また、西門の中心部からは少し離れますが、台北市立総合病院と台北市衛生局疾病管制所が入った大きな建物があって、ここには巨大レッドリボンがあり、レインボーフラッグも出ています(下の写真では見えにくいでしょうが、レッドリボンは入口の上に、レインボーフラッグは4階の向かって左側の窓に出ています)。レッドリボンは色が薄くて、ピンクリボンかとも思ったのですが、退色したみたい。
疾病管制所というのは感染症対策セクションらしくて、ここでHIV検査も受けられます。感染がわかると、総合病院で治療開始。HIV対策、治療の拠点がここです。
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