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松沢呉一のビバノン・ライフ

女性ミュージシャンは顔で売る?—ビョークが主張する音楽業界のセクシズムは存在するのか? 3(松沢呉一) -3,668文字-

2017年01月10日11時53分 カテゴリ:連載ビョークが主張する音楽業界のセクシズムは存在するのか?社会問題性差別音楽


ミュージシャンとルックス

 

vivanon_sentenceビョークの件でFacebookに投稿して以降、「評価されたものを踏まえてしか次を評価できない傾向」「期待されるものから大きく外れるものは失望を招きやすい傾向」という話だけではなくて、Facebookに自分が書いたことの最後の部分ついてもずっと考えてました。

「女のミュージシャンはルックスで評価されやすい。ルックスだけではないとしても、その要素を外しては語られにくい」ということと、「女のミュージシャンは好きな男のこと、恋愛のこと以外を歌うことは難しい」ということです。

ルックスについてはビョークが指摘していることではないですが、「あるかもしれない」と私自身が感じているため、ここに挙げてみました。

具体的に言うと、女のミュージシャンは「美人」という冠がつけられやすい傾向がありそうに思います。他のジャンルでも、美人代議士、美人弁護士、美人秘書、美人教師、美人記者、美人ウェイトレスといった表現がよくなされる程度には、あるいはそれ以上に、ミュージシャンもなされる。

ミュージシャンの場合、目立ってナンボ、話題にされてナンボですから、同じことなら見た目のいい方が売りやすい。同レベルであればもちろんのこと、音楽的に劣っていても、宣伝を展開しやすいため、より音楽的才能のある人より優先、優遇されることもありそうです。PVの重要性が高まっている現在はとくにそうでしょう。

しかし、これは男女ともに言えることではなかろうか。

 

美人のメリット

 

vivanon_sentence上の写真は先日見かけた看板です。全然知らない人です。検索すると、「美人ヴァイオリニスト」という表現が高い頻度でなされています。

動画も見てみました。

 

 

たしかに美人ですけど、音には興味を抱けず。看板を見て「どんな音だろう」と興味を抱いて聴いてみようとするくらいには美人は有利。音が気に入らなければそれまでですけど、「興味を抱くかどうか」の母数を増やす効果はあるでしょう。

私が聴いてみたのは、この時期だからであって、普通だったら、それだけで聴く気にならないですけど、現に今回は「美人」いうことで、動画まで私は貼付けて宣伝協力してます。

他にも「美人ヴァイオリニスト」という冠のつく人はいたと思いますが、男のヴァイオリニストとしてすぐに私が思い浮かべるのは勝井祐二です。

 

 

こちらはミュージシャン自身がPVに登場しない。そういう売り方をしてませんし、ファンもそんなことはどうでもいいので、ルックスが語られることもまずない。もちろん、私はこっちの方に惹かれます。人によりけりですから、「もちろん」ということはないけれど。

これだけ見ると、いかにも「女はルックスで売る」と見えてしまいます。

しかし、片方はバンドだし、音も売り方も違うので、これだけではなんとも言えない。

 

CDジャケットでの顔出し率の男女差

 

vivanon_sentenceこういう場合は、なんとなくの印象、なんとなくの勘に頼るとたいてい間違えるので、数字を出すことにしました。

PVをチェックして、「本人が出ているかどうか」をカウントしていこうかとも思ったのですが、一瞬出ているのと、出っぱなしなのとを同じに扱えないため、秒数まで数えなきゃいけないし、男でも出ている方がずっと多いでしょうから、差が出にくい。いずれにせよ最後までPVを見ないと決定できないので、時間がかかりすぎます。

そこでCDのジャケットを調べてみました。

以下の条件。

・2000年以降にインディーズ、メジャーを問わず、CDデビューしている

・ジャンルはロックに限定

・メジャーデビューしている

現在活動をしていなくても可

・バンドの場合はメインヴォーカルがどちらかで性別を決定

・男女のツインヴォーカルで、どちらがメインとは言えないバンドは対象外

・インストは対象外

・Amazonで検索して、トップに出てきたメジャーからリリースされたCDをカウント

・イラストは除いて本人の写真を出しているかどうかで判断

・小さい写真でも、顔を判別できれば「○」

・写真を使用していても顔がまったく見えない場合は「×」。シルエットも「×」

「インディーズと言っても、自分らでジャケットを決めているのは稀であり、メジャーと違わない」といった指摘は不要です。男女の条件が統一されていればいいことですので。

「ロックとは何か」という定義の問題がありますが、ここではレコード会社なり事務所なりがロックとして売っているかどうかで決定。サイトや略歴に「ロック」の文字が入っていればロック。BABYMETALはどうなんかということにもなりますが、メタルですから、ロックです。

ちなみにBABYMETALはアイドルの作られ方なのに、顔を露骨にはジャケットに出してません。ジャケットの作り方は完全にメタル。BABYMETALのPVやライブはYouTubeで一通り観てますが、ジャケットは今回初めて見ました。

トップに出てくるのは右のジャケットです。三人の写真を組み合わせているようにも見えますが、モアメタルとユイメタルは左右対称で差がなく、スーメタルも顔がまったくわからないので、これは「×」としました。

イラストでも、メンバーであることがわかるタイプのものもあるのですが、判断が難しいので、すべて「×」としました。

CDデビューを2000年で区切ったのはとくに意味がなく、男女の条件を揃えるためであり、10-FEETマキシマム・ザ・ホルモンはギリギリ対象外、アジカンサンボマスターはギリギリ対象です。

この条件に合致する人たちを片っ端からカウントしていて、「期待のロックバンド」といった記事からピックアップしたり、Amazonで表示されるものをピックアップしたり。女子はここ数年メジャーデビューしたバンドが多いため、女子の方が若手率が高く、そこに偏りはあるかもしれない。また、男性バンドは知っている名前が多く、対して昨今の女性バンドは知らないのが多く、そこにも偏りが出ているかもしれない。

 

意外な結果が出ました

 

vivanon_sentenceもっと簡単にカウントできると思っていたのですが、いざやってみたら、けっこう面倒でした。

まずAmazonに出てくるレーベルがインディーズなのかメジャーなのかがわかりにくい。ソニーなりユニバーサルなりの社名が出ているのではなく、レーベル名なので、いちいち調べなければならないのです。

メンバー構成も調べ、それでもメインヴォーカルが誰なのかわからない時はPVをチェック。写真が出ていても、別人を起用している場合がありますから、その照合もしました。

もっと数があった方がいいのですが、意外に手間がかかることがわかって、各20組をカウントするに留めました。

さて、その結果は。

 

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