今もネグリジェは現役である—ネグリジェとnegligee[下]- (松沢呉一) -3,376文字-
「高度成長期の家庭内エロ—-ネグリジェとnegligee[上]」の続きです。
negligeeの中にsexyジャンルがある
前回見た英和辞典では、日本でいうネグリジェはnightdress、nightgownであり、口語でnightieとあったが、これらがnegligeeではないのではなくて、それを含めてnegligeeと呼ばれている。日本と違うのは、指し示す範囲が広いため、日本で言うスケスケ・ネグリジェを意味する場合は、その前にsexyだの、babydollだのといった形容がつけられていることだ。
右がその一例で、「Sexy Negligee Lingerie Babydoll Nightwear Gothic Ruffle Lacing」という商品名になっている。検索でひっかかりやすいように全部突っ込んでいるのだろうが、sexy negligee、babydoll negligeeってことだ。
あっちでは、こういう体型のモデルさんを積極的に使っている。
「おたくで買った商品を着たら全然違うんだけど」
「商品は一緒ですけど、着ている人が違うのですよ」
とか、
「おたくで買った商品を着たら全然違うんだけど」
「それは適切なサイズではないからですよ」
というクレームがつきにくい効果が期待できる。ちなみにこれは5XLサイズ。
ただのネグリジェでは通じにくい
上のものは英語でも日本語でもネグリジェと呼んでいいのだが、同時に日本だったら、ネグリジェと呼ぶタイプにnegligeeという言葉がついていないものが多数ある。
左は「Sexy Plus Size Robe Nightwear Sheer Lace Trim Lingerie Gown」となっていて、negligeeという言葉はない。これに限らず、lingerie gown、sexy gown、sexy nightwearといった言葉がつけられていることが多いようだ。
日本で言うネグリジェを含むとは言え、英語のnegligeeは重きがそこになくて、もっと広範囲の室内着を指し、その中でsexyといった形容がつくものが日本ではネグリジェと呼ばれている(呼ばれていた)と言ってよさそうだ。
ちなみに私は上のベビードールと呼ばれるタイプのものより、左のようなランジェリー・タイプが好き。大人の女ってカンジ。色は黒がベストで、赤や白でもよし。中は全裸がいい。これは日本円で千円もしない。しかも、下着はいらないので、安上がりな私の趣味である。
日本におけるネグリジェの浸透
富裕層は別にして、一般の家庭で大人たちがこぞってパジャマを着るようになったのは戦後のことだ。ベッドが一般化するのとリンクしていそうで、昭和30年代からだろうし、まず場所の節約として子ども用の二段ベッドが導入され、そこでは子どもたちはパジャマである。
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