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【第5報】レポート◆成長する東京の個人と組織。前田遼一は武藤嘉紀を忘れさせ、野澤英之は梶山陽平と高橋秀人に迫り、チームは最高のバランスに近づく/J1 2nd 第5節 FC東京vs.ベガルタ仙台(2015/07/30)

レポート◆成長する東京の個人と組織。前田遼一は武藤嘉紀を忘れさせ、野澤英之は梶山陽平と高橋秀人に迫り、チームは最高のバランスを模索する

セカンドステージに入って苦しみぬいていたFC東京だが、その苦しみはむだではなかったようだ。ベガルタ仙台との第5節では、さまざまな発見があった。

1)組織の進歩

いま、東京がチーム全体として強く意識していることはふたつある。ひとつは、マッシモフィッカデンティ監督から丸山祐市への指示にあったように「しっかりつなぐ」こと。もうひとつは、なるべく高い位置でプレッシャーをかけてボールを奪ったら攻めきることだ。引いて守って耐え、0-0で推移しているうちにセットプレーで1点を獲って勝つという基本形はあるにしても、それだけでは優勝することはできない。進化するためにはボールを保つ時間を増やし、構えるだけでなくプレッシングを基調にした守備からの攻撃も必要だ。もちろん、90分間のべつ幕なしにそうしなければいけないわけではない。むしろ、状況を見てプレーを変えていく必要がある。

川崎フロンターレとのセカンドステージ開幕戦では、高い位置からの守備はある程度機能した。しかしこれを徹底してやりきることは難しく、第2節の対アルビレックス新潟戦では、引いて構える時間を多くした。とある人物に訊くと「前からプレッシャーをかけてうまくいかないチームが一度構えるのはよくある話」とのことで、定石どおりの修正をかけた恰好だったようだ。そして第3節と第4節ではモンテディオ山形と鹿島アントラーズのプレッシャーに苦しみ、思うようなサッカーができなかった。特に第4節の対鹿島戦ではミスが目立った。ミスなくパスをつないで落ち着く時間帯をつくりたいという切実さが高まる内容だった。

このような流れを受け、第5節では解決策、またはトライが用意されたふしがある。
相手ボールでは、前からプレッシャーをかけてボールを奪うこと。その獲りどころ、高さは、慎重に検討、調整したように見える。高い位置でボールを奪うと、相手陣内でボールを廻すことができ、優位に試合を進められる。観ていて安心できたのは、東京が押し込もうという意思を見せて背後に不安がなかったからだ。

<前田遼一の証言>
「フラン(サンダサ)もけっこう前線でボールをキープしてくれて、ほんとうに高い位置でボールを廻せる時間帯が多かったので、そういう意味では自分自身もゴールに向かう動きができたという感触はあります」

マイボールでは、低い位置でもがまんしてつなぐこと。

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