赤鯱新報

【赤鯱探訪】氏原良ニ編①「今の名古屋の若手は恵まれてるな、と感じます」

オールドファンには懐かしい顔ではないだろうか。名古屋グランパスの育成組織出身で、トップチームの選手、スクールコーチ、そしてアカデミーコーチと様々な現場で活躍した。これだけのキャリアを経験した“グランパス関係者”は彼ぐらいのものだろう。引退後は主にジュニアユース世代の指導者として実績を挙げ、昨年は豊田市の街クラブでも結果を残している。「自分は愛知に多くの“後輩”がいると思っている」と語り、今年からは普及も含めた新たな事業を立ち上げた。指導歴10年を数えるいま、グランパス出身の叩き上げ指導者が思うことは何か。強い使命感と築き上げてきた指導論からは、氏原良二というサッカー人の強い熱を感じた。

「今の名古屋の若手は恵まれてるな、と感じます」

Q:まずはこれまでのこと、グランパスから今に至るまでの氏原さんのサッカー人生についてをお聞きしたいのですが。
「チームというのは生き物ですから、1年間を通して変化するものです。毎年メンバーは変わるし、スタートした2月から考えても、8月や9月、12月とチームは違ったものになってきます。そのことは若い頃にはわからないものでしたけど、だんだんそれがわかるようになってくる。例えば監督やコーチの発信の仕方によってチームはいかようにも動いていくので、同じ発言をしてもチームの好不調によって響き方は全然違ってきますよね。そういうことを僕はキャリアの中で感じてきました。この状況なら監督の言葉としてはこういう風に言ってほしいのにな、とか選手自身の中には答えはあるんです。でも監督がその答えを持っているとは限らないので、状況になかなか釣り合った言葉にならなかったりする。逆に自分たちが思ってなかった言葉が響いたりもする。そういうことを僕は考えてきました。そして毎週のオフ明けの練習で監督がどんな話をするのか、どう思っているのか、それを察知してプレーをしてきたつもりです。その上で監督が思い描いているプレーを心がけて、さらに自分の武器を出せるような関係作りをやってきた、というのが僕のサッカー人生だったと思っています。自分が貫くこともあるんですけど、人に合わせることが多かったです。パスもドリブルも、チームのためにエゴを出さずに。たまには出しますけど、人に合わせるプレーヤーだったと思います。どこのポジションもやりましたしね。退場者が出てボランチをやったこともありますよ。時にはキーパーもやって、PKを止めたこともあるんですよ(笑)」

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