西部謙司 フットボール・ラボ

ガラパゴスと馬鹿にされたJリーグ特有の「5バック」がユーロを席巻中。超守備的5-3-2がアンチ・フットボールと非難されない理由

絶賛開催中のユーロ2020(1年延期での今年開催)で5バックがトレンドとなっている。しかし、多くのJリーグクラスタにとっては見慣れたシステムと言える。なぜいま、5バックなのか? 超守備的5-3-2はアンチ・フットボールなのか?

シンクロする2019年の松本山雅とユーロ2020のハンガリー

ユーロ2020、ベスト16が決まりました。グループFの咬ませ犬だったはずのハンガリーはフランス戦に続いてドイツ戦も引き分け。「ハンガリーにとりこぼしたところが脱落」といわれていた死のグループでしたが、ハンガリーが2勝する可能性すらありました。

ハンガリーは5-3-2で引いて守りながら、ときおり鋭いカウンターアタックを繰り出してくるという、強豪国にとって厄介な相手となっていました。ドイツ戦は先制して、いったん追いつかれた直後に2点目を入れて突き放しましたからね。

敗退となって涙をこぼす選手もいる中、サポーターの声援に応じて胸を張る姿が印象的な堂々たる敗者でした。

ハンガリーはいわゆる「弱者のサッカー」に徹していたわけですが、J1では2年前の松本山雅がユーロにおけるハンガリーとよく似ていました。5バックは今回のユーロのトレンドといえるかもしれません。3-4-2-1はJ特有のシステム、ガラパゴス的なものと認識されていたのですが、ここにきてむしろ早すぎる流行だったのかという感もあります。

その中でも最も守備的な5-3-2ってどうよ? というか、どうだったのよ。というテーマで考えてみたいと思います。

健闘すると称賛、勝つと非難される不条理な「弱者のサッカー」 

J1で5-3-2といえば、2019年の松本山雅です。

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