【プレイヤーズファイル】「鹿島から、どこかしらの海外クラブに行ってたとしても、俺はそこで終わっていた」/ 増田誓志(2013.12.10)
たった一人の記者室はガランとしていた。他の記者たちはJリーグアウォーズの取材に行ったのだろう。広報さんからも「田中さんは行かないの?」と声を掛けられる。しかし、目的を果たすまではクラブハウスを離れたくなかった。
「明後日、増田が来ます」
確かに土居聖真はそう言った。しかし、待ち人来たらず。目的の人はなかなか姿を現さず、クラブ関係者からは「明日か、明後日じゃないの」と言われてしまう始末。自分が聞き間違えたのかと思うようになってきた。
時計が3時を回ったとき、明日にしようと腰を上げた。取材が空振りに終わることは別に珍しいことではない(最近はなかったけれど)。
そう思ってクラブハウスのバス停に並んでいた。すると、どうだろう。バスより先に、土居の車が見えてきた。徐々に近づいてくる助手席には間違いなく増田誓志の姿があった。
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