「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

流れを引き寄せ3-1で第1戦を制する/【レビュー】AFCチャンピオンズリーグ2018ラウンド16第1戦 上海上港戦

それにしても人間とは欲深いものだ。

1-1から3-1にしたり、2-1から3-1にしたのなら最終スコアにも納得できるのに、3-0から1点返させる戦いには到底満足できない。なぜあんなにあっさり失点したのかと頭を抱えたくなってしまう。

それもこれも、いままで一度も突破していないラウンド16の壁を乗り越える可能性を少しでも高くしたいからだ。3-1という結果はまずまずだが、あの1失点さえ無ければもっと大きな前進。このチームで唯一、アジアの頂点に立った経験を持つクォン・スンテも第一声は「結果より失点したことがすごく残念です」というものだった。アウェーゴールとはそれだけ価値がある。第2戦も気の抜けない戦いになる。

 

前半、上海上港はまったく覇気がなかった。ヴィトール・ペレイラ監督は会見のなかで「ゴールへ向かう姿勢、取りたいという姿勢がまったく伝わってきません」と前半の動きについて不満を漏らし、「自分たちのチームが3失点したことは考えられない」「サッカーにおける事故のような失点だと思う」「後半見せたサッカーができれば問題ない」という言葉をどんな質問が来ても繰り返していた。余程受け入れがたい結果だったのだろう。

とはいえ、監督が憤るのも当然だ。上海上港はチーム内でなにかモチベーションを崩す出来事があったのではと思えるほど、前半からおとなしい入り方だった。昨季、準決勝で上海上港と対戦した浦和はオディル・アフメドフの神出鬼没な動きにかなり苦しめられたようだが、この日のアフメドフは(予想どおり)ほとんどなにもせず90分間存在感は希薄なまま。ウー・レイも速さを生かすのではなく、不自然なほどインサイドに入ってボールを受けようとはせず、右SBのワン・シェンチャオを高い位置に張らせるような位置を取る。エウケソンはもともとゴール前で一度のチャンスを逃さないタイプの選手であり、怖さを感じる選手はオスカルだけだった。

 

 

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