「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

変化の連続性のなかで得た大きな大きな勝点3/【レビュー】明治安田生命J1リーグ第22節 横浜Fマリノス戦

 3位横浜Fマリノスとの大一番は、どこまでできるか不安を抱えながらの一戦だった。右SBを支えてきた永木亮太に疲労の色が濃く、右SHのレアンドロは絶不調。2戦連続で終盤に失点する最悪の展開で勝点を落としてきた。ここで負けると優勝戦線からの脱落を意味する。それだけに、右SHにセルジーニョ、右SBに小泉慶、さらには右CBにブエノが入った急造布陣がどこまで機能するのか不安を抱えながらのキックオフだった。

 

 しかし、蓋を開けてみればすばらしい内容でライバルを蹴落とす。FC東京とは勝点7差とまだまだその背中は遠いものの、5人の選手がチームを離れる状況にも負けず、小泉慶、相馬勇紀、上田綺世が三者三様に持ち味を発揮した。

 新しい選手が加入したとき、余計な気遣いをさせるのではなく、まずは持っている能力を存分に発揮することに専念してもらい、まわりはできる限りそのサポートに意識を向けることは、鹿島以外のクラブでも当然行われていることだろう。しかし、その範囲がチームを超え、クラブ全体に行き渡っているのは、もしかしたらこのクラブだけかもしれない。

 

「いまの位置にいたら攻めるしかない。それは采配もそうだし、クラブの姿勢もそう。若い戦力もつぎ込んで攻めていかないと追いつかない」

 試合後、上田綺世の劇的な決勝点があったにもかかわらず鈴木満常務取締役強化部長に興奮した様子はなかった。「追いつかない」というのはFC東京のことを指すだけでないだろう。

 今夏、鹿島だけでなくJリーグ全体で、クラブのこれからを担う選手が海外に渡った。選手をじっくり育てて戦力を積み重ねていくチームづくりはもはや不可能だろう。さらに国内でも選手の移籍はかつてないほど激しく動いている。選手が代理人を付けることがスタンダードになったため、少しでも試合に出られないと出場機会を求めて他のクラブへ移るようになるだろう入れ替わりのサイクルはこれがベースになる。その早い回転に「追いつく」ためには攻めて攻めて攻めるしかない。

 いなくなった選手のことに気持ちを引きずられるのではなく、新たに獲得した戦力の力をいち早く引き出すことができれば、チームの最大戦力の総和を減らすことなく戦うことができる。だから「攻める」。守りには入るのではなく攻める。

 その第一歩となる記念すべき勝利だった。

 

 

(残り 4421文字/全文: 5430文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック