残りシーズンへの所信表明。内容よりも結果を求める姿勢を鮮明に打ち出し勝点3をもぎとる/【レビュー】明治安田J1第33節 FC東京対鹿島アントラーズ
もっとうまく戦える気もするし、もっとうまく戦うことを目指して欲しいとも思う。しかし、この期に及んで無い物ねだりをしていれば勝つ算段は薄くなる。それよりも徹底的に色気を廃し、現状でできることに集中する。どうやら相馬直樹監督は終盤戦に臨むに当たって針を振り切ったようだ。
できることは少ないし、戦いのバリエーションも多くはない。しかし、一つ鋭利な武器を磨くことで明治安田J1での3位も、天皇杯優勝も本気で目指す。その目標に向かってチームが一つになっていることがよく伝わってきた。
もしかしたら、もっとボールを持ちたい選手もいたかもしれない。ポゼッションを維持して相手を押し込みながら戦う方がいいと考えていた選手もいたかもしれない。だが、この3週間で監督はきちんとチームをまとめ上げたのだろう。試合の中では選手たちの姿勢は見事に統一されていた。不恰好でも勝利をもぎ取りに行く。ボール保持率が下がっても、構うことなくまず相手陣を目指す。その姿勢は徹底されていた。
試合後の相馬直樹監督のコメントは、いままでにないくらい実感を伴って響いてきた。
「本当に選手たちが勝ちたいという気持ちを表現してくれたと思いますし、選手一人一人がチームの手を繋いで一つになった、そういうゲームだったと思います。準備の中でもそういった部分を感じ取れた部分がありましたので、それをしっかり表現できて、しっかり勝ちに繋げられた。本当に今後につなげられるゲームになったかなと思います。また次は天皇杯になりますけども、そこに向けていい準備を進めていきたいなという風に思います」
おしゃれに繋いで相手をいなす。それができれば最高だ。しかし、残念ながらそのチームを構築するだけの時間も術も、いまのチームにはない。それでも勝たなければならないのだ。横浜FC戦後にサポーターが見せた姿は、褒められるものではなかったかもしれないが、選手にも監督にも大きく響いたようだ。
いまできることは少ない。それでも勝つためにはどうするのか。導き出された答えがこれだ。
「まず選手が試合に勝たないと。どんなに綺麗なサッカーをしてもしようがない。今日は相馬監督からもあったように“なにがなんでも勝つ”というのをやろう。それを、この準備期間でやってきました」(上田綺世)
チームが一つになって勝点3をもぎ取った。
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