WE Love 女子サッカーマガジン

WEリーグの楽しみ方に世代間ギャップはあるのか!? 魅力を語りあったZ世代ファン・サポーター座談会 

Z世代はアメリカの世代分類「ジェネレーション・ゼット」から派生したスマホネイティブな世代です。1990年代後半から2012年頃に生まれた世代を指しており、2022年時点では20代中盤から10歳くらいまでの人が該当します。SNSで積極的にコミュニケーションし「自分らしさ」を大切にする、多様性を当たり前のこととして受け入れている傾向が強いとされています。Z世代は、これからの社会・経済を動かす影響力を持つ世代と考えられ、世界中から注目を集めています。 

今回はZ世代のファン・サポーター4名に集まっていただき、WEリーグの楽しみ方やWEリーグのあり方についてディスカッションしていただきました。筆者は、予想外の発言の連続に戸惑いながら、お話をお聞きしました。Z世代ファン・サポーターの目に、WEリーグは、どのように映っているのでしょうか。 

参加者 

青木ひかるさん

ゴール裏席で大宮アルディージャVENTUSを応援。Jリーグでは川崎フロンターレを応援。WEリーグの開幕をきっかけに女子サッカーを見るようになった。各チームに所属する「ひかる」選手に注目。 

青木ひかるさん

りさばやしさん 

新潟生まれ新潟育ちの大学1年生。女子のサッカーを観戦し始めたのは10歳くらい。その頃から女子チームでプレーしサッカー歴14年。アルビレックス新潟レディースのファン歴7年。「推し」は児野楓香選手。 

りさばやしさん

大宮けんさん 

大宮アルディージャVENTUSと大宮アルディージャを応援。書籍『サッカー旅を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる 埼玉編』等の執筆も行う。note『「けんちゃん、ごめん」大好きな彼女が、突然他サポになった日』が話題に。 

大宮けんさん

桝井かほさん 

WEリーグを観戦してはいないがサッカー全般に関心がある。株式会社No.18を起業し、スポーツに使える伊賀くみひもの靴紐「クシュレ」を販売する等、スポーツ関連のビジネスを展開。山岸祐也選手(福岡)のファン。奈良県出身。 

桝井かほさん

勝てない試合でも楽しめるWEリーグ 

ひかる—最初は三菱重工浦和レッズレディースの試合を見ていたのですが、途中から大宮アルディージャVENTUSにハマりました。その後、大宮アルディージャのトップチームも、たまに見にいくようになりました。 

けん—大宮アルディージャVENTUSが誕生するまで、女子サッカーをほとんど見ることがありませんでした。大宮アルディージャVENTUSの選手からひたむきさを感じます。リーグ序盤はしんどい試合が多かったのですが、試合を重ねるにつれて、技術、チームワーク、ベンチの雰囲気……すごく良いチームになってきたと思いました。勝ちまくったわけでも優勝したわけでもないのだけれど、勝ちたい気持ちとか気迫とか、Jリーグではあまり感じなかった感情を得られました。1年目を一緒に歩めたのは良い経験だったと思います。 

ひかる—試合の結果だけ見ると、大宮アルディージャVENTUSは、正直「強いチーム」とは言えません。でも、点差が開いたりして追いつくのが難しい展開でも、選手が90分間を最後まで戦う姿を見られました。試合を大切にしていると感じます。勝てない試合でも楽しめる雰囲気がありますね。 

—ひかるさんは、そう簡単に勝てないことを覚悟してNACK5スタジアム大宮に行かれています。でも、Jリーグ観戦では、勝てる可能性がとても高い川崎フロンターレを応援している(笑)。スタジアムに行く際に気持ちの違いはありますか? 

ひかる—対戦相手が強いチームでもNACK5スタジアム大宮には「今節は誰が決めてくれるかな?」「どんな試合になるかな?」と期待して行きます。NACK5スタジアム大宮は雰囲気がとても良いので、試合前から試合後まで楽しみです。勝ち負けは、楽しむ要素の一つです。 

けん—チームとして階段を上がっていく感じがあったのがハマった大きな要素ですね。 

ひかる—各チーム、それぞれに良いところがあるのだと思います。競技自体の高い質を見たいだけならば、三菱重工浦和レッズレディースを見に行った方が楽しいかもしれません。 

りさばやし—アルビレックス新潟レディースは最初の滑り出しが悪く、シーズン全体では良い結果を残せませんでした。でも、シーズンが進むにつれてプレーの質が向上していきました。プレー・スピードも速くなりましたし戦術の工夫も感じました。「プロ化したんだ」という感動が大きかったです。プロモーションが強くなりましたね。押しが強くなった気がします(笑)。 

戦術面では3バックを導入したチームが増えてきて、見ていて面白いです。男子の試合をよく見ている人は、女子サッカーの引き分けや1−0の試合に物足りなさを感じることが多いと思います。だから、点がたくさん入る試合が増えてほしいです。個人的には3−2や4−3の試合が好きです。 

WEリーグをきっかけに手話を使ってみた 

ひかる—大宮アルディージャVENTUSはWE ACTION DAYの活動に手話を取り入れています。WE ACTION DAY以外でも、スタンボー華選手が手話で「愛してるぜ大宮」をやっています。それを真似して、私たちも一緒にやってみたりしています。最終節の試合後の挨拶ではキャプテンの有吉佐織選手が自己紹介を手話で行いました。「素敵だなー」と思いました。選手がやっていることをきっかけに、自分も楽しんで手話をやってみることができてよかったです。こういう活動は大切なことなのですが、社会人になると自分のことで精一杯になってしまい、WEリーグが始まるまで、なかなか自分で触れる機会がありませんでした。 

りさばやし—素敵ですね! 

けん—大宮アルディージャのトップチームは、毎年「手話応援デー」を行なっています。定番のイベントになっていますよ! 

ひかる—そうなんですね!知らなかった。NACK5スタジアム大宮は家族連れが多いので、大宮アルディージャVENTUSの試合では、大型モニターに映る手話を真似して家族みんなでやっている人もいましたね。 

「自分も活躍したらプロになれるかもしれない」と女の子が思える舞台が整った 

けん—大宮アルディージャVENTUSができて、地元でも「女子も頑張ればプロになれる」という目標が生まれることが、WEリーグが誕生した一番の意義だと思います。 

—かほさんはご自分で事業を進める中で性別の壁を経験したかもしれません。WEリーグが拓く女子のチャンスについて、外からどのように眺めていましたか。 

かほ—WEリーグのビジョンに「世界一アクティブな女性コミュニティへ。」と書かれています。とても印象に残っています。初めて読んだときに「楽しみだな」と思ったビジョンでした。 

スポーツ業界では、20〜30歳も年上の男性の中で仕事をすることが多かったです。例えばZOOMで打ち合わせするときは「20人がずらーっと並んで一人だけ女の子」みたいなことばかりです。その時点で、若い女の子として見られる「やりずらさ」みたいなものを感じます。 

ちょっと困ったときに助けてもらえるメリットもありますが……めちゃくちゃムカつくこととか、許せないこともありますね。「自分が男だったら」と思う瞬間もあります。仕事をしていたら「世の中には男の人の方が多いんじゃないか?」と思うことすらあります(笑)。そういうことを気にせずに働ける方が良いですよね。 

WEリーグの選手が並ぶと、男女どちらかに区別するのが難しく見える選手もいます。WEリーグの中では多様性が認められていると感じます。それぞれの多種多様な考え方が認められる社会になるためにWEリーグがもっと普及すると可能性が広がっていくと思いました。 

りさばやし—かほさんのお話に興味が湧きました。私はWEリーグに影響されて「女性活躍の推進」をテーマに大学でレポートを書いています。管理職に女性が少ない、結婚や出産で仕事を辞めてしまうことについて考えています。「女性だから」と見られるのが個人的に嫌いです。重たいものを持っているとき「持つよ」と言ってもらうのは嬉しいのですが「私が女だから持ってくれるのかな?」と感じたりもします。  

ひかる—私の職場の社長は女性で、育休・産休を取りやすいです。これまで、あまり不便さを感じたことはなかったです。私の周囲では、時代の流れに適応した会社が増えてきていると思っています。 

一方で、サッカーに関しては、まだまだ「男の子がプレーするもの」というイメージがあるのを感じます。WEリーグができて、女の子でもプロサッカー選手になれるようになりました。「自分も活躍したらプロになれるかもしれない」と女の子が思える舞台が整ったことは、すごいことだと思います。 

—女性が活躍できる環境で働いているひかるさんにとって、WEリーグが発信しているジェンダー平等のメッセージはどのように感じますか? 

ひかる—理念やビジョンは大切なことだと思います。目標を掲げるのも良いことだと思います。ただ、主張しすぎることによる拒否反応もあると思い、複雑に感じています。WEリーグが女性の活躍を強く発信するがゆえに、逆に自分が「女性であることを強く意識してしまう」ところもあります。 

地方都市だからこそ強く感じる男女の格差 

りさばやし—ひかるさんの職場は環境が整っているということですが、皆さん、関東圏にお住まいですよね。私は新潟に住んでいます。私の周囲では、サッカーに関しては男女の格差がとても大きいです。新潟県の女子サッカー界はプレー人口が少ないです。私の周りでは。小学生でプレーしていた女の子の多くが、中学校に進学して学校の部活に入ると女子サッカーを辞めてしまいました。 

—奈良県出身のかほさんは男女の格差について、どのように感じますか? 

かほ—地方は男女の格差を感じることが多いと思います。地方都市の30代以上の男性にはジェンダー平等に恐怖心を感じている人もいますね。サッカーでは、男子のチームが施設を押さえていて女子の大会を開催するのに苦労する話もよく聞きます。だから、奈良県で本格的に女子サッカーをプレーしている女の子は中学生くらいから大阪へ出て行きます。「女子サッカーを辞めるか?大阪に出るか?」を選択することになる女の子がたくさんいる印象です。 

WEリーグが始まって気が付いた「特別扱いへの反発」の存在 

WEリーグが公開した「女子プロリーグに関する調査」 結果報告書(2022年1月26日)によると「WEリーグの『女性活躍推進』に共感する」に当てはまる回答をしたのは全体の32%。しかし、Z世代に相当する10代の女性は50%、20代の女性は41%でした(最も低かったのは40代女性の26%、50代男性の27%)。世代間の意識の違いを感じることはありますか? 

けん—世代間ギャップを感じることはよくあります。例えば、政治の世界で「右の人」でも、若い世代の人は(ジェンダーバランスに)理解があるし、いつもは「リベラルっぽい発言をする人」でも、高齢の方が実はジェンダー平等を理解されていないことはよくあります。 

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