「川崎フットボールアディクト」

次々と押し寄せる難敵を振りほどきつつ1ヶ月の連戦を全勝で終了。総力戦で乗り切る/天皇杯3回戦 vs千葉【レポート】

天皇杯3回戦
7月21日(水)(18:03KICKOFF/フクアリ/4,553人)
千葉 1 – 1 川崎
PK戦 3 – 4

■勝利で区切り
120分を戦ってスコアは1−1のまま。勝敗はPK戦に委ねられることとなった。

そのPK戦では、千葉とフロンターレの4人目、8選手がすべてゴール向かって左方向に蹴り続けていた。守るGK、チョン・ソンリョンと千葉の鈴木椋大も4回ずつ合計8回をすべてキッカーとは逆側に飛んでいた。

同じ方向が続いていたことで、PK戦が神経戦になりつつあるのだろうと想像したが、ソンリョンは「感覚で飛んでいるので」のだとしつつ「気がついてたら(キッカーが)同じ方向に蹴ってました。同じ方向に飛んでましたし」と笑顔を見せた。

先攻千葉の3人目。岩崎悠人が枠を捉えきれなかった一方、フロンターレは4選手が連続して成功。迎えた千葉の5人目。熊谷アンドリューが蹴ったのはゴール向かって右側。このPK戦で初めてそれまでとは違う方向に蹴ると、同じ方向に飛び続けたソンリョンがこれをセーブしてフロンターレがPK戦を制することとなった。

長い戦いの日々が一区切りした瞬間だった。

フロンターレが日本を出国したのが6月19日でウズベキスタン入国後、そのまま隔離生活に。ACLでは中2日で6試合を戦い6戦全勝。帰国後にリーグ戦の清水戦と、この天皇杯の千葉戦を戦った。この間コロナ陽性者が出たことでチーム活動は困難に直面。この試合後も7月27日までは隔離生活が続くが、戦いのストレスからは一旦開放されることとなった。

この1ヶ月ちょっとの隔離された戦いの日々について、試合後の鬼木達監督は、その困難のすべてを伝えきれないもどかしさを口にしつつ、その言語化を試みていた。

「伝わらないことが多いかと思いますけど、そういった中で選手が今日も120分、プラスPK。あの形で勝つという。その姿、本当にすごいことだと、なんとか伝えたいなと、思います。彼らの頑張りに感謝しています」

そして指揮官として「やっとホッとできるタイミングなのかなと正直思っています」としつつ「本当にわかってほしいのは、選手が本当に頑張っているんだという。そういうものを伝えていただけたらなと、思っています」と言葉を続けた。

この試合前、鬼木監督は涙ながらに、感染してしまったスタッフ、選手に謝罪の言葉を言わせてしまうことの申し訳なさを口にしていたが、その件について改めて「本当にそれを言わせなきゃいけないというか、言わせたくないのにそうなってしまう。この、コロナというのは憎いということはすごく感じています」としていた。そして感染者が出た中でも結束を続けたチームについて言及し「チームみんなで色々な人を支えながら、助け合いながらやれているところに、このチームの今がある」のだとした。そうやって、今まさに現出しているフロンターレの強さの一端を説明した。

■堅守の千葉

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