中野吉之伴フッスバルラボ

【指導論】長谷部誠に指導者としての可能性を感じる確かな理由

▼ 選手と指導者は何が違う?

フランクフルトでプレーする長谷部誠がなぜ、クラブからそこまでの評価をされているかをまとめたこちらの原稿は非常に多くの方に読まれているようでうれしい限りだ。

フッスバルラボではそこからさらに掘り下げて、《長谷部から感じる指導者としての資質》についてをまとめていけたらと思う。

《選手と指導者は違う》ということはよく言われるし、耳にする。指導者を一度でもしたことがある人はその言葉の意味が分かるはずだし、逆にわからないのであれば、そもそも指導者ではない。ここは絶対に踏み外してはいけない原点なので、じっくりと考えてもらいたい。

長谷部は昨年からDFBがセカンドキャリアが見えてきた現役プロ選手のためのプロジェクト《パスウェイプログラム》の一環として、DFB公認B級ライセンスに参加している。こちらのプログラムは指導者ライセンスと並んで、スポーツディレクターに関する研修を受けることもできるという。

ではここからは長谷部自身の言葉を取り上げながら、長谷部から感じる指導者としての可能性について考察していこう。

長谷部 5月終わりにテストかな。いろんなことを学んでいる。育成についてとか。僕にとってとても大事なことです。時々時間があるときにフランクフルトの育成アカデミーへ足を運んでトレーニングをしたり、トレーニングを見学したり。指導者は選手と違う。そのことにはもう気付いている。ライセンスにしても道のりは長い。引退後もドイツに残るので、監督ライセンスはドイツで取るつもり。

プログラムの中には定期的にU15やU16といったチームで実践をすることもあるわけだが、そこで何を見て、どんなところに難しさを感じているのだろう。これに関しては長谷部自身は「選手は多かれ少なかれ感覚的にサッカーをやっている」と口にしていた。そして指導者というのはそうした選手の感覚を乱さずに、でも論理的な考察をそえて、判断基準を整理させていくことが必要になる。

そのためにどんな準備をして、どんなアプローチが最適なのかを考えるわけだ。

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