森マガ

【短期集中連載】2021年サガン鳥栖のサッカー その1 前提として

3月10日、日本サッカー協会から金明輝前サガン鳥栖監督にA級コーチジェネラル降格、日本サッカー協会の研修参加と社会奉仕活動参加という処分が下りました。

2022年はA級コーチとして活動しようとしても研修と社会奉仕活動があるのでフルタイムでは無理でしょうし、そこから2022年末のS級コーチテストを受けられるかどうかというトライアルに参加して、合格したとして2023年は年末まで1年間S級コーチの研修を受けろという厳しい処分です。

金監督には自分を振り返って反省し、新たに生まれ変わった姿を見せて欲しいと思います。ただ、家庭を持ちながら仕事は2年間出来ないということでしょうから、本当に金監督が戻ってこられるかどうか心配でもあります。

 

一方で、金監督が2021年の鳥栖で見せたサッカーはきちんと分析しておくことが大切でしょう。限られた予算、制約のある選手層の中で、なぜ鳥栖は7位という成績を残すことが出来たのか。この点は今後のサッカーの発展にも繋がってくることだからです。

金監督は記者会見でよく「我々のやりたいサッカー」という言葉を口にしていました。ですが、最初に考えなければいけないのは、金監督が自身にとっての理想のサッカーを掲げて、選手をそれに合うようフィックスさせたのではないだろうということです。

というのも、2021年の鳥栖は最初のキャンプでは4バックのシステムを組んでいました。ところが湘南ベルマーレとの開幕戦では3バックを披露し、その後も3バックがベースとなっています。さらにその湘南戦とリーグ終盤では3バックの考え方も変わっていました。

これは選手の特性を見ながらシステムに変更を加え、選手の能力を最大限引き出せるようにしたから、と推測できます。そのため、他のチームではなかなか活躍することが出来なかった選手が自分の良さを発揮することが出来たのでしょう。

もちろん中心選手がプレーしやすいように他の選手の組み合わせを考える、という手段は多くのチームで見られる考え方です。ただ、鳥栖の場合はより多くの選手の良さだけを引き出し、弱点に砂をまぶしてプレーできるように整えていたと言えるはずです。

また、鳥栖の楚輪博初代監督以来、連綿として続く伝統——走力、体力で相手を上回るという特長がベースになっていました。試合終盤にも走り続けられる基礎体力がなければ、2021年の鳥栖はあり得なかったと思います。

以上を前提として、2021年の鳥栖を攻守にわたって分析していきます。なお、この内容については、本当は金監督に確認して正しいかどうか検証すればさらに詳しいことが述べられると思いますが、残念ながら今は叶いません。そのためこの分析は私の観察を元にした内容であり、一部実態と外れている可能性もあります。もっとも、攻守のベースに関する部分はほぼ間違っていないだろうということは思っています。

この連載は無料部分だけでも内容は伝わると思います。個人スポンサーのみなさまが読める以下の部分は、より私の意見が濃い内容になっています。

(残り 586文字/全文: 1846文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ