久保憲司のロック・エンサイクロペディア

The Beatles “She loves you” …プレスリーがマッチョとは反対に、ビートルズは女性のような仕草をすることによってとてつもない成功を手にした (久保憲司)

 

 

僕と同世代の音楽評論家の人に「今みんなボウイ、ボウイと喋っているけど、あの頃の三大グラムで一番デカかったのはエルトン・ジョンですよね」と言ったら「エルトン・ジョンってグラムだったんですか!?」とびっくりされました。

 

 

僕が子供の頃はあのハゲ親父が憧れだったのです。フーの映画『トミー』でもエルトン・ジョンが出るところが一番盛り上がるというか、子供の頃の唯一の洋楽音楽情報源だったTVジョッキーで大音楽評論家のF1こと福田一郎先生もフーよりもエルトン・ジョンをめっちゃノリノリで紹介してました。

僕が音楽業界に入りたいなと思った頃の音楽評論家の代表と言ったらマフィアの親玉のようなハゲチャビンのオッさんですよ。画像検索してみてください。こんなおっさんのいる世界になんか入りたくないなと思うでしょう。僕は絶対音楽業界なんかで仕事なんか出来ないなと思ってました。僕みたいなお調子者は先生の前で失礼なことをして、一瞬にして消されるんだろうなと思ってました。

ジャックスなんかレコーディング中に「お前らなんかと一緒にやれない」と福田先生を怒らせて、消されたんですよ。日本のロックで一番大事なバンドの一つの歴史を変えたんですよ。どう消されたのかよく分からないですが、ジャックスのレコードのライナーか本に早川義夫さんが書いてました。怖いすよね。パワハラの時代です。

福田先生のお弟子さんといえば湯川れい子先生、そしてそのお弟子さんといえば和田静香さん、この流れって音楽業界の良心、リベラルですよ。だから福田先生も実はとってもいい人だったのかなと思いますが。

福田先生とは一度だけロンドンでお仕事をさせてもらったことがあります。ボニー・タイラーという今は誰も覚えていないでしょうが、女ロッド・スチュアートと言われたシンガーのインタビューだったのですが、先生ボニー・タイラーのホテルよりいいホテルに泊まっていて、びっくりしました。もっとびっくりしたのは先生は仕事場に録音機持ってきてなかったのです。今の評論家だと絶対考えられないことです。そこが抜けるくらいびっくりしました。ボニー・タイラーを待たして担当がレコーディング・ウォークマンを買いに行きました。

すごいなと思いましたが、俺はこういう人は敵だなと思いました。道を作ってくださった大先輩を敵と思いながら、よくここまで生きてこれたなと思いますが、なんとかなるもんです。ブラック企業に働いたとしても「ぶっ殺すぞ」と辞めたらいいんです。好きなことだけやってたらなんとかなるもんです。その人たちとは違う道を作らないといけないですけどね。

批評性が大事だと思います。先人がやっていることを見て、その人たちの真似はしない、違うことをやる。そうしたらきっと食い扶持が見つかると思うのです。

それを僕に気づかせてくれたのがパンクです。髪を短くするだけで、誰よりも目立つのです。これは衝撃でした。それまでは誰よりも髪を長くすることが一番だったのです。そのためには何年もかかったんです。長髪というのは“俺はお前たちよりもロックを3年長く聴いているんだぜ”という意味も込められていたんでしょう。パッチワークだらけのボロボロのジーンズもそういう意味だったんでしょう。それを一瞬にして意味のないことにしたのがパンクなんです。

下克上です。

福田先生を敵だと書きましたが、そりゃそうでしょう。パンクで音楽業界は変わったのに、このオッさんはなんで君臨しているんだ、倒さないといけないものだったのです。

というか、福田先生を見ていて嫌だったのは、ビートルズとかが世界を変えてくれているのに、それさえ影響を受けてない感じがしていたのです。

ビートルズ不思議なバンドです。なぜここまで人気があるのか分からないです。今も子供たちにビートルズを聞かせてもなぜかみんな楽しくなります。ニルヴァーナなんかを聞かせると「なんで暗いの」とかいうのに。

 

 

 

そして僕は気づいたのです。なぜビートルズがあんなに受けたのか、それはビートルズの「イエー、イエー、イエー」という掛け声にあると、そして、首を振り回しながら「ウー、ウー」というのは何か、あれは女性のオーガスムスを演じているです。

 

 

 

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tags: Bonnie Tyler Elton John The Beatles ジャックス 和田静香 湯川れい子 福田一郎

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