【世界のロック記憶遺産100】 ストロークス『イズ・ディス・イット』 ・・・ロックは死んだというけど、ロックで売れる方程式は完全に出来上がっている。ストロークスはそれを手にいれた (久保憲司)
“僕はストロークスのメンバーに成りたかったのに、どうだいこの様は”
と始まるアークティック・モンキーズの新曲「スター・トリートメント」。今はストロークスよりビッグなバンドになった彼らにこう歌われるくらいだからストロークスは偉大なるバンドだったのです。
そんなストロークスですが、その登場があまりにも突然すぎて、ソニック・ユースのサーストン・ムーアに「そんなバンドの存在は全く知らなかった」と言われ、日本のウィキにも“ロックミュージックのセールスが黒人音楽勢に押されて危うくなっていたイギリスを中心としたマスメディアによるハイプだ、との見方もあった”などと書かれている。エッーーーーーこんな偉大なロックンロール・バンドがハイプ!!!プップップッって笑ってしまいます。
ヴォーカルのジュリアン・カサブランカスがアメリカの超有名モデル・エージェンシーの息子であるというのもそんな噂に拍車をかけたのかもしれない。彼らと会って思ったのはそんな胡散臭とはぜんぜん違う、これまでのアメリカのバンドにはなかったイギリスのバンドに似たむちゃくちゃさみたいなのを感じた。その当時はよく分かんなかったんだけど、今から考えると彼らというのはドットコム・バブルに見捨てられた子供たちだったのかなという気がする。ドットコム・バブルですよ。みなさん、覚えてますか?日本でいうとインターネット・バブル、六本木ヒルズというやつですか!?日本にいるとあんまりその実像が分からないかもしれないけど、アメリカでは1999年に始まって、2001年に終わるという、まさにバブル。日本だとヒルズ族が「高いワインと高いワインを混ぜたらどんな味がするかな(すいません、ワインに興味がないので、ワインの名前忘れてしまいました)」とかそんなアホなことをしていた時代です。
今だったらこんなことしてたらSNSで大炎上なんでしょうが、あの頃はまだ格差も少なかったのでしょうか?まだみんな余裕があった?ロス・ジェネとか言われていた世代はいたわけですが、まだみんな余裕あった?ロス・ジェネは他人事だと思ってた?約20年前の話ですが、その記憶は僕も含めてみんな曖昧なものになってしまっている。
でもまっ、約20年前にストロークスというロックの革命があったわけです。
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