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青山敏弘物語〜逆境〜 第六章/ミハイロ・ペトロヴィッチ来日

来日したばかりのミハイロ・ペトロヴィッチ。まだこの頃は足の具合もよく、鳥かごにも参加していた。その足裁きはかつて「東欧のブラジル」と呼ばれた旧ユーゴスラビア代表に選出された事実を彷彿とさせるほどの上手さがあった。

2006年6月15日、サンフレッチェ広島の歴史はこの日、変わった。ミハイロ・ペトロヴィッチという無名のセルビア人が広島にやってきた、その日である。

「まず、選手に会いたい」

そんな指揮官の要望で記者会見は広島市内で行われず、吉田サッカー公園で行われた。そのクラブの判断に対して何人かのメディアが噛みつく。

「新監督の会見を、広島市内のホテルなどの(一流の)場所でやらないなんて。そもそも、そういう姿勢だから成績もあがらないし、お客さんも来ないんですよ」

会見前、広報を捕まえて延々とクレームをつける記者。

あー、負けるというのは、こういうことなんだな。

声を荒げる記者、頭を下げる広報。そういう姿を遠くで見ながら、空しくなっていた。

 

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