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【2018紫熊の勇士】松本泰志/カズさんのようにコントロールを

森崎和幸が全くの別メニューでありながら、トレーニングの場所に戻ってきたことはサポーターにとって至極の喜びである。そしてその喜びは選手も同様だ。「カズが練習場に戻ってみんなの前で挨拶した時、大きな拍手が起きた。そのことだけで、このチームでの彼の存在の重さが改めてわかりました」と城福浩監督は言う。

トゥーロン国際大会で活躍し、広島に戻ってきた松本泰志にとっても、カズがそこにいることは大きな喜びだ。プロ入り初先発となった昨年のルヴァンカップ・C大阪戦で一緒にプレーして以来、松本は背番号8の影響を大きく受けてきた。11月、奇跡的な残留のきっかけとなったトレーニングマッチ・対G大阪戦で見事なゴールを決めた時も、「カズさんに見てもらいたかった」と負傷で帯同していなかった森崎和幸の名前をあげたほど、公私ともに彼にとっては尊敬すべき存在。偉大なボランチが近くにいてくれることの喜びを、松本ほど実感している選手もいない。

背番号32は、森崎和幸の正統な後継者と言える。今の8番のスタイルからすれば守備の部分、特に球際のところはまだまだ。「カズ・スペシャル」といっていい深くてフェアな必殺タックルも、身につけてはいない。だが、彼の資質は間違いなく、カズの系統の中にいる。背筋が伸びた姿勢の良さ。止める・蹴るという基本技術が正確だから戦術的な応用も利きやすいし、足下を見る必要もないから顔も上がり、視野も広くなる。若い頃のカズにそっくりとまでは言えないが、その落ち着きはまさしく偉大なる紫のボランチを想像させる。今季、ルヴァンカップで結果を残し続けたことでリーグ戦でもメンバー入りを成し遂げ、4月11日の対横浜FM戦ではプロ入り初となるリーグ戦先発を果たした。本来の力を発揮したとは言い難いが、素晴らしい経験を積み重ねたことは疑いない。

U-21日本代表として追加招集されたトゥーロン国際大会でも、松本は力を発揮したと言っていい。

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