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【SIGMACLUBNEWS】交代5人制導入濃厚/新しい選手たちの起用戦略

多くの人が誤解しているが、野村克也が江夏豊をリリーフ専門に配置転換をしたのは決して「初めて」ではない。あ、プロ野球のことである。

たとえばタレントで有名な板東英二は徳島商高時代、夏の甲子園大会で通算83奪三振という今も破られていない大記録を打ち立てた投手だった。その彼は中日ドラゴンズ時代、先発からリリーフに転向して二桁勝利を重ねている(1964年)。リリーフ専門で活躍する先鞭をつけたのは彼であり、彼をリリーバーに転向させた中日・近藤貞義監督(当時)だ。その後、1965年に宮田征典がリリーフで20勝をあげる快挙をあげて優勝に貢献し、1975年の広島初優勝は宮本幸信がリリーフで10勝10セーブ、中継ぎで渡辺弘基や三輪悟らが仕事をしたことが大きな要因となっている。もちろん、野村克也と江夏豊の存在の凄さは論を待たないし、江夏が全試合ベンチ入りしたことで広島・日本ハムの優勝があったことは間違いない事実。彼の大車輪が日本のプロ野球を分業制に大きくシフトさせたことは言うまでもないが、そこに向けてのベーシックな環境は1960年代からつくられていた。

そういうシステムは、サッカーには縁が無いと思っていた。昔は1人の選手交代すら許されない時期があり、今でこそ3人の交代が許されているが、ベンチスタートの選手たちは野球のリリーバーのように「それが自分の仕事」と割り切れるはずもない。「ここぞという時の切り札として期待されていますが」と質問を受けた新加入選手が憮然とした表情で「サッカー選手はみんな、先発で出たい」と言い切ったシーンを思い出す。

しかし今季、Jリーグは過密日程対策の一環として、1試合5人交代制を採用する見通しだ。今の予定では、交代回数は3回のままで5人までの交代を許すという形のよう。これは、サッカーというスポーツの考え方に革命的な発想の転換が生まれるきっかけとなりうるルール変更だと個人的には思う。「リリーフ」という野球的な概念をサッカーに持ち込むことが可能となりそうだ。

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