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【PRIDE OF HIROSHIMA】ドウグラス・ヴィエイラ/苦悩と切り替え

 

1週間、後悔の日々を過ごしてきた。

特に試合後の2日間は、眠ることも難しいほど、苦しんだ。

もう1度、あの瞬間に戻ることができたら、どれほど幸せか。もちろん、それは叶わない。では、どうすればこの苦しみから逃れられるのか。

ドウグラス・ヴィエイラは悩み、苦しんだあげく、一つの結論にたどり着いた。

ハードワークするしか、ない。

仙台戦、本来であれば、彼はヒーローになれるはずだった。後半の開始早々、レアンドロ・ペレイラのプレスに連動してPA内にポジションをとり、相手のパスコースを読み、ミスをついてボールをカット。GKが前に出てくることもしっかりと予測してボールを動かし、かわした。あとは、ネットを揺さぶるだけ。仙台の選手がカバーに入っていたが問題ないはず、だった。

ところが、だ。

カバーに入った平岡康裕が「いちかばちか」で動いた、その方向にドウグラス・ヴィエイラはシュートを打ってしまった。

経験豊富であり、J1でもゴールを積み重ねてきたストライカー、痛恨のミス。それでもチームが勝てれば問題はなかった。だが、仙台のベテラン=兵藤慎剛のゴールで追いつかれ、広島は勝ち点1に終わる。後悔が彼の胸の奥から広がってきた。

サッカーはミスのスポーツ。思うようにいかないからこそ面白いし、浪漫もある。だが、プロフェッショナルにはミスをしてはいけない局面もたしかに存在する。「ミスのスポーツ」だといって、言い訳ができない局面も存在する。仙台戦の逸機はドウグラス・ヴィエイラにとってはまさに、「やってはならないミス」だった。

あのとき、こいう判断をしていれば。

あのとき、もっと冷静になれていれば。

考えても考えても、時は戻らない。リセットも出来ない。それが人生であり、運命だ。だからこそ、切り替えないといけない。前を向くしかない。

人は常に、後悔と切り替えの日々を生きている。歓喜は一瞬だけであり、思い通りに物事が進むなんて、稀にしか起きえない現象だ。それでも、その「稀」なことを追い求めて、プロフェッショナルは動く。だからこそ、ミスに苦しみ、ミスに打ちのめされる。

「前を向く。努力する。それが出来ればいいんだ」

(残り 857文字/全文: 1751文字)

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