佐々木翔の強い意志とボールに宿った生命/広島1-0柏
その瞬間、ボールに生命が宿った。
佐々木翔が「GKとDFの間を狙った」という左足のキックは、椎橋慧也の頭に当たって方向が変わる。
そのコースは一瞬、GK佐々木雅士の方向に飛んだように見えた。ところがそこから、ボールはギュッと急激に方向を変え、逆サイドのネットを揺さぶった。GKの手に収まることを意志をもって拒否するかのように、ボールは曲がった。ここまで数々のビッグセーブを見せて広島の前に立ちはだかった19歳のGK佐々木も対処しようもなく、芝生の上に倒れ込んだ。
その瞬間、キャプテンは大きく手を広げた。そこにジュニオール・サントスが飛びつき、キャプテンを高く抱き上げる。柏好文が川辺駿が森島司が藤井智也が、ヒーローに飛びつく。スタジアムが割れるほどの音量で響いた拍手の雨が、佐々木翔を祝福する。
「柏戦で勝ったからといって、あの天皇杯での敗戦がチャラになるわけではない。そんな軽いものではない」
言葉にするだけで心が痛む天皇杯での屈辱。その翌日に佐々木は、強い口調で言葉を吐き出した。
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