ピエトロさんが見ている(海江田哲朗)【J論】

「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【マッチレポート】天皇杯-3 横浜F・マリノス戦『精度の次元が違った』(2016/09/23)

2016年9月22日(木・祝)
天皇杯3回戦 横浜F・マリノス vs 東京ヴェルディ
16:00キックオフ 高知県立春野総合運動公園陸上競技場
[入場者数]5,733人 [天候]曇、無風、気温26.7℃、湿度72%

横浜FM 4‐0 東京V
前半:3‐0
後半:1‐0
[得点]
1‐0 中村俊輔(18分)
2‐0 中町公祐(26分)
3‐0 カイケ(45+1分)
4‐0 カイケ(88分)

●東京Vスターティングメンバー
GK31 鈴木椋大
DF19 大木暁
DF3   井林章
DF5   平智広
DF2   安西幸輝
MF20 井上潮音
MF8   中後雅喜
MF14 澤井直人(46分* 渡辺)
MF11南秀仁
FW29 北脇健慈(67分 杉本)
FW18 高木大輔(76分 アラン)
(ベンチメンバー:GK1柴崎貴広。DFウェズレイ。MF13船山祐二、33渡辺皓太。FW7杉本竜士、9アラン・ピニェイロ、17ドウグラス・ヴィエイラ)

監督 冨樫剛一

■絶対に謝らないと決めていた

残り5分を切り、0‐3。ゲームの大勢は決した。勝利をほぼ手中に収めた横浜F・マリノスは余裕のボール回しである。

サイドでボールを持つ中村俊輔に、井上潮音が激しく寄せる。身体がぶつかり、中村は左足を押さえてうずくまった。中村がいったんピッチを出て治療している間、井上はしれっとした顔で水を飲んでいた。

ピッチに入ってきた中村に、またも井上の強いチャージ。倒された中村はうんざりしたような表情を浮かべた。井上はひと言詫びを入れるどころか、助け起こす手を差し伸べようともしない。左右を見て、取るべきポジションを取った。

86分、東京ヴェルディに最後のチャンスが訪れる。井上の縦パスを受けた中後雅喜がスルーパスを出し、渡辺皓太が裏に抜け出すが、飯倉大樹の鋭い飛び出しに阻まれた。

89分、右サイドを深くえぐったマルティノスが安西幸輝をかわし、中央に走り込んだカイケが決めて0‐4。東京Vは完膚なきまで叩きのめされた。

井上は言う。

「これがJ1のレベルなんだと感じるところはたくさんありました。スピード、技術、どのポジションもレベルが高い。パスの精度、特にロングパスの正確性は自分たちと違ったと思います」

開始から中村には激しく当たっていた。その姿勢は最後まで揺らがなかった。

「俊輔さんだからといって中途半端なことはしたくない。相手が年上だとか、立派な選手というのは、戦いの場では関係ないですから。試合中は謝らない。すみませんとは絶対に言わないと決めていました」

試合後、井上は謝ろうとしたが、そのタイミングを見つけられなかった。もっとも、相手を痛めつけようとした故意のプレーではない。当たりどころが多少悪かったかもしれないが、正当なチャージだ。

中村は生意気なヤツだと思っただろうか。とっくに勝負付けは済んでいるのに、どうにかして一矢報いてやろうと挑んでくる井上を。故障から復帰したばかりのデリケートな時期に、ガチンと当たって悪びれるそぶりすら見せないルーキーを。

いや、中村にも若葉の時代があった。自分より大きな存在にぶつかっていった感覚はかすかに残っているだろう。名前くらいは憶えといてやるよ、といったところではないか。

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