【マッチレポート】J2-6[H] モンテディオ山形戦『燻る』(18.3.26)
2018年3月25日(日)
J2第6節 東京ヴェルディ vs モンテディオ山形
14:03キックオフ 味の素スタジアム
[入場者数]4,336人 [天候]晴、弱風、気温16.5℃、湿度35%
東京V 0‐0 山形
前半:0‐0
後半:0‐0
[得点]
なし
●東京Vスターティングメンバー
GK21 上福元直人
DF23 田村直也
DF3 井林章
DF4 畠中槙之輔
MF8 内田達也
MF15 林昇吾(65分 梶川)
MF24 奈良輪雄太
MF33 渡辺皓太
MF20 井上潮音(71分 橋本)
FW9 ドウグラス・ヴィエイラ
FW22 カルロス・マルティネス(55分 アラン)
(ベンチメンバー:GK1柴崎貴広。DF2若狭大志。MF16佐藤優平、27橋本英郎、MF38梶川諒太。FW7アラン・ピニェイロ、11林陵平)
監督 ロティーナ
■ふたつのノーゴール
喜色満面の林昇吾がゴールの裏を回り、待ち受ける仲間からもみくちゃにされていた。同期の井上潮音が、やったなと胸をバンバン叩く。プロ初得点だ。生涯忘れ得ぬ日になるだろうなと僕が感慨にふけるのもつかの間、協議する西山貴生主審と山際将史副審のもとへ選手が集まり、にわかに雲行きが怪しくなってきた。
29分、奈良輪雄太のクロスをドウグラス・ヴィエイラが触り、流れてきたボールを林昇吾がダイレクトで蹴り込んだ。林昇吾は副審の旗が上がっていないのを認め、ゴールを確信する。たしかに山際副審の旗は上がってない。が、旗を回してゴールを認めるアクションもしていなかった。
保留の態度を取ったのには、わけがある。奈良輪がクロスを上げた瞬間、林昇吾の位置はオンサイド。が、ドウグラスがすらした時点ではオフサイドだった。
ここで、ドウグラスがプレーに関与していないと断定できれば、ゴールは認められる。山際副審の位置からは選手が重なっていて見えづらく、マークについていた栗山直樹の頭に当たってコースが変わった可能性も消せなかったはずだ(こちらのケースでもゴールとなる)。
審判団の話し合いの結果、ノーゴールの判定。事実、ドウグラスはプレーに関与しており、記念すべき一撃は幻と消えた。残念至極ではあるけれども、林昇吾はオフサイドラインから半身出ていた程度なのに、山際副審はよく見えていたものだと素直に感心する。
よりスピーディな判定を求める気持ちはわかるが、この件で正確なジャッジに導くまで要したのは40秒程度だ。ビデオ・アシスタント・レフェリー制度が導入されれば、もっと時間はかかる。
レフェリーも生身の人間である。この出来事で受けた心理的な圧迫感は、その後のジャッジに影響を及ぼしたように僕は思う。
37分、山形が右サイドを突破し、加賀健一が山なりのクロスを上げる。捕球体勢に入りジャンプする上福元直人に、阪野豊史が競りかけ、ボールはゴールの方向にこぼれた。井林章が懸命にかき出すが、高寺恒如副審は旗を回してゴールを認めるジェスチャー。ボールがラインを完全に割ったことを示す。それを見た西山主審もセンターサークルのほうに手を向けた。つまり、ゴールを認めた。
わからなかったのが、このあとの西山主審の動きだ。2回笛を吹き、手はセンターサークルに向けたまま、高寺副審のほうに駆け寄っていく。東京ヴェルディの選手たちは猛抗議し、結果、ゴールの判定は覆った。阪野のファールを取り、上福元のキックからゲ-ムが再開される。
モンテディオ山形の木山隆之監督は、再開前に西山主審から受けた説明をこう語る。
「主審の方は、僕はファールだと思ったんです、と。だけど、ラインズマン(副審)のジェスチャーを見て、ファールで旗を上げたんだと思って聞きにいったと説明されました。僕にはまったくそうは見えなかったですけど。一番近いところで見ているのは主審ですよね」
木山監督が承服しかねる様子で話すのは当然。この西山主審の説明は、支離滅裂である。ファールと見たなら、上福元と阪野の接触プレーの時点で笛を吹き、プレーを止めるべきだった。高寺副審はすでに自分の裁量の範囲内でジャッジを下している。
一方、ロティーナ監督の見解はこうだ。
「おそらく、ふたつの判定はいずれも正しかったと思います。ただ、その取り消しの仕方が、両チームのベンチにとって不明瞭なものでした」
たしかに西山主審の意思表示次第でクリアになった部分は多くあっただろう。
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