「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.28 芯念宿りて ~DF15 林昇吾~(18.4.11)

見かけはちょいと頼りないが、風貌や仕草といった上っ面にだまされてはいけない。東京ヴェルディユースから昇格し、3年目を迎えた林昇吾。その内面には周囲の想像が及ばないほどの太い芯が通っている。
左利きの利点を生かし、出場機会を増やしている今季、地道に蓄えてきた力を一気に爆発させるときだ。

■たまたま調子が出たセレクション

プレシーズンの沖縄キャンプでのプレーから、定位置をつかみかけている現在の林昇吾の姿を予見できたか。僕の答えは、ノーだ。それどころか、しばらく時間がかかりそうだと感じていた。

4試合のトレーニングマッチ、林昇吾は主に従来の持ち場である左サイドバックでプレー。攻守とも中途半端で、ほとんど自分の色を出せていなかった。表情は自信なさげに映り、指示されたことを忠実に守るだけで精一杯の様子。存分にチャレンジできるこの時期に出さずして、いつ出すのだとじれったく思った。

しかも、ユースから昇格し、3年目のシーズンはひとつの答えを出すタイミングに当たる。先々を見据え、チームを構成するうえで重要な仕事を担える選手か、否か。つまり、リミットが迫っていた。

ところが、どうだ。

3月21日、J2第5節のアビスパ福岡戦で途中からピッチに立ち、今季初出場を果たすと、次節以降3試合連続で先発出場。第7節の徳島ヴォルティス戦では、ドウグラス・ヴィエイラのゴールをアシストしている。このゲーム、林昇吾は時間を追うごとに自信を深め、90分の間に見違えるような変貌ぶりを見せた。

「プレーをやり切れるようになったのが変わったところだと思います。キャンプの頃は、ドリブルをしても相手についてこられ、ボールを戻すことの繰り返し。ゴールに向かうプレーをできていなかった」

そう振り返る林昇吾の口調はたどたどしく、なよっとした印象が否めない。が、違うのだ。このソフトな風合いをピッチでのプレーに重ね合わせようとすると、思わぬギャップに遭遇する。

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